昔のはなし(渋) ページ11
渋谷side
※一部同性の恋的表現あり
「好きや。」
高2の秋、文化祭でのバンド演奏を1ヶ月後に控えた時期。バンド仲間から突然告白された。
仲の良かった、ドラマーの男。
入学式の時、人見知りの俺に話しかけてくれた唯一の奴で。作詞作曲も好きな、音楽性の高いバンドのリーダーで。そのバンド仲間に当時ボーカルとして俺を入れてくれた。
そんな男に、告白された。
「…………は？」
「いや、だから、お前の事好きなんやけど」
聞き返す俺にめげずに告げてくる。
俺はもう気が動転して、ただどうしていいか分からなくて。
別に嫌悪とかは無かったけど、現状を事実と認めてしまってはいけない気がした。
だから俺は男を押しのけて、半笑いで「きっしょw」と笑って返す。
冗談になれ。
今ならほら、笑って流してやるから。
冗談って言え。冗談って言え…
ガタガタガタッ
突然脳が揺れて、物の倒れる音が耳に響く。気がつけば俺は教室の床に押し倒されていた。
周りには机や椅子が散らばっている。
「…っ、何すんねん！」
「うっせぇ！お前が俺を馬鹿にするからだろ！！！」
逆上したそいつが俺の制服のボタンを引きちぎる。
流石にやばいと思い、頭がグラグラするのも構わず手足をばたつかせて抵抗。
頭上に倒れていた椅子を掴んで振り回すと男は漸く俺の上から退いた。
俺は椅子をその辺に放り投げて教室から逃げようとしたが、腕を掴まれて窓際まで引きずられる。
そのまま取っ組み合いになって、揉みくちゃになりながらお互いを窓枠や机に押し付け合った。
「おいすばる、バンド仲間に入れてやった恩がある事忘れんなや」
「っ、そんなん、頼んだ覚えないわ！」
力だけだとどうしても俺が不利だ。
だから、押し付けられるたびに身体を反転させるしか対抗の術がなかった。
だんだんそれもキツくなってきて、息が上がる。
追い詰められて、背中に机の端が食い込む。俺はあまりの痛みに、渾身の力でそいつを突き飛ばした。
そいつはバランスを崩して窓枠の手すり部分に勢いよくもたれ掛かった。
と、その時…
バキッと窓枠が外れた。
元々校舎も古かったため、老朽化した部分が衝撃に耐えきれなかったのだろう。
「あ？」
そいつは何が起こったのか理解しきれていないような、とぼけた顔で落ちて静かに落ちていった。
キャーーーーっ！！！
女子生徒の甲高い悲鳴が聞こえる。
俺は呆然としたまま、そいつを押した感触の残る手を握りしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てん(プロフ) - みづきさん» ありがとうございます！今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年9月13日 15時) (
レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - 続き楽しみに待ってます！頑張ってください。応援してます！ (2018年9月12日 9時) (レス) id: 843d8c558c (このIDを非表示/違反報告)
てん(プロフ) - きいろさん♪さん» 応援ありがとうございます…！きいろさんのお陰で、更新を続ける事を決意することができました。拙い文ですが、今後も作品共々よろしくお願いいたします(´；ω；｀) (2018年4月29日 1時) (レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
きいろさん♪ - 更新頑張ってください！すばるくんがいなくなることが決まって、寂しいですが、7人の関ジャニ∞を書き続けてくれると嬉しいです！応援してます！ (2018年4月28日 8時) (レス) id: dfe925cf14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てん | 作成日時：2018年3月31日 17時
