第69話『初心に帰って』 ページ20
光side
Aが居なくなったってことを聞いて、正直言うと梓が入院することになったことよりもかなり衝撃的だった。
俺も要も勿論他の兄弟も必死で探していたけど見つからなくてもしかしたら椿が居る福岡に行っちゃったんじゃないかと思えてくる程だった。
要「ひーちゃん、仲良かったじゃない？どこか行きそうな場所知らない？」
と言ってもAが好きそうな場所はかなり見た。……ただ気になるところは幾つかあるけど。
光「あの子のカゾクのところとかは？」
その3文字で要の表情が強ばるのが見て取れた。当たり前だ。もし、そこに居るとしたらAは……まだ俺達とは本当の家族にはなりきれていないから。
要「行ってみよう」
……で、こんなに早く見つかるかってくらい早くに見つかった訳だけどどうしても近づくことが出来なかった。
要「……少し裏を回ろうか」
その言葉について行ってみると丁度Aと要の上司である隆盛さんが話している後ろ側にきた。
隆「ねぇAちゃん？」
貴「うぅ……はい…？」
Aは泣きながらその隆盛さんに正面から抱きついていて、隆盛さんの方はそんなAの背中を擦りながら落ち着かせているみたいだった。
隆「何も言わずに来ちゃったの？」
貴「はい……」
隆「きっとかなちゃんたちも心配してると思うよ？」
めちゃくちゃ心配してるよ？
貴「でも……私には椿さんを好きでいる資格が無いんです」
好きでいる資格、ねぇ？ どうしてそんな話になっちゃったのかしら？
隆「どうして？」
貴「つっくんが前にラジオで言ってた『あっくんに何かあったら1番に知らせる』ってことが出来なかったから。そもそもそんなことも出来ない時点でファン失格です……」
ああ、もしかしてこの子……元々椿のファンだったのね？ というか椿の方はそんなコメントしたことすら忘れてそうだけど。
隆「でも、大切なことは全部したんでしょ？」
貴「グズグズやっててまたジュンの時みたいになったら……最悪じゃないですか…」
隆「ジュンちゃんの時は色々と手遅れが多かったからね…」
そうか。前にもそういう経験があったからこそ、梓の時になってより善い措置が出来たのか。
隆「でもAちゃんは謝らずに逃げちゃうの？」
この人、結構キツいこと言うな…。
要「隆盛さんも鬼になってるね」
ああ、そうか。いつもは優しいのか…。
貴「謝りに行こうと思ってます。でも……」
続く
第70話『情愛に揺られて』→←第68話『そして俺は敗者になる』
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ジャスミン - すごく面白いです。次の話も早く読みたくってウズウズしています。更新、頑張ってください！ (2018年2月22日 22時) (
レス) id: b88f458e4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝日奈友月@椿愛してる | 作成日時：2017年6月8日 22時
