恋する365日〈QK・短編集〉 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:34,690 hit

〃ページ4

『拳さん、確かについ最近ね、伊沢さんと一緒に歩いていたことがあるよ。でも…』

私は事の顛末を包み隠さず話した。
若干恥ずかしかったが、拳さんに誤解されるよりは全然いい。

『そういうわけで…初対面だったし、あれ以降も会ってないし…拳さんが気にするようなことは何も無いよ？』
「あ、ああ、待って。いつの間にそんな話…」

拳さんも恥ずかしそうに手で顔を隠す。
いつも拳さんの方が一枚上手で、動揺している表情とか見れないから貴重だ。
伊沢さん、なんか、ありがとう。

「本当に疑ってごめん。二人で歩いてるの見かけた時、嫉妬した。」

拳さんから、嫉妬という単語が出るとは…
嬉しくて頬が緩みそうになる。

『私も女の人と二人きりで歩いてる拳さん見たら気が狂うと思うから、全然気にしないでください…あ！でも、拳さん、大丈夫ですからね？』
「ん？」
『わたし、これまでもこれからも、拳さん以外の人好きにならないから、嫉妬する必要すらないから…でも、嫉妬してくれるのも嬉しいから、丸っきり安心されちゃうのも寂しい』
「もう、それ、どっちなの(笑) かわいいなぁ」

ナチュラルな可愛いは、私の体温を上げるのには十分で、顔の中心に熱が集まるのがわかった。

今、絶対、顔赤い。
拳さんは、いつもこういう事あんまり言ってくれないから…たまにこられるとすごく弱い。

「顔、赤いね(笑)」
『分かってるから、言わないでいい。…あと、拳さん、あんまり褒めるとか、惚気けるとか、私にしないでしょ？だからね、私の事を良い彼女だって言ってくれてるって聞いて、めちゃくちゃ嬉しかったよ』
「俺は、ばれちゃって恥ずかしさしかないけどね」
『いや、私も全く恥ずかしくないかって言ったら嘘になるよ…。でも、本当に良いなって思ってないと、みんなに言うことはしない思うから…愛されてるなって実感できて…嬉しさの方が買っちゃった(笑)』
「…愛してるからね。意識せずに、Aの話しちゃうし、みんなに自慢しちゃってる」

ああ、好きだなぁ。
こういう時改めて思う。
デートとかしてる訳でもない、連絡とか頻繁にとるわけでもない。
だけど、ちょっとした言葉とか態度とかで、大切にされてるって感じて…
たまにこうやってストレートに伝えてくれる言葉がとても愛しい。

『私も、拳さんのこと愛してるから(笑)』

01
(私も拳さんのこと友達にめちゃくちゃ自慢してるよ)
(え、すごく気になるんだけど)
(ふふ、、秘密。まあ、でも、いい彼氏ってことだよ)