恋する365日〈QK・短編集〉 (ページ15)

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「どうしたの？朝から溜息なんてついて」
『ああ、拓司、起きたんだ…おはよう』

拓司はこちらに向かって真っ直ぐと歩いてくる。
寝癖で跳ねている髪が少し面白い。

「質問に全然答えてないし、何笑ってんの？(笑)」
『ん、拓司の髪型がユニークでね(笑)』
「それはいつものことだろー」

拓司はもう私の目の前で、まだセットしていない私の髪を撫でる。

「それで、溜息の方は？」
『んん…それは…少し、淋しくてね』

彼はクイズ王で、とっても頭がいい。
それが関係あるかは分からないけど、私の気持ちを一言だけで察するのが得意だ。
そして、いつも満点の回答を私にくれる。

「俺はここにいるから、今Aの目の前にいるから、もう淋しくないでしょ？」
『うん…そうだね』

「でも、もし、この後Aが会社に行って、俺もオフィスに行って、夜それぞれ自分の家に帰った時に、またAが淋しくなるんだったら、一緒に住もう」

私はびっくりしてしまって、目をぱちくりとさせるだけで、口から言葉は出なかった。

「どうする？(笑)」
『え、え、、それ冗談？』

「冗談でこんなこと言わないよ(笑)」
『それなら、一緒に住みたい…』

拓司は私の顎を持ち上げて、啄むようなキスをする。
角度を変えて何度も、徐々に深くなっていくそれが嬉しくて、離れたくなくて、もっとって思っちゃう。

でも、息が少し苦しく、酸素をいれようと口を少し開いた瞬間、酸素と一緒に侵入してくるなにか…

まだ、朝なのに…と思いつつ、私は彼のされるがままとなる。

歯列をなぞられ、舌をかすめとられ、絡ませ合う。

徐々に頭が痺れていき、全身に力が入らなくなる。
とうとう膝から崩れ落ちた時に、口が離れ、抱きとめられる。

『…はぁ、、』
「ごめん、少しやりすぎちゃった」
『…もう』
「Aが可愛く笑うのがいけない…あと、俺も一緒に住めるのが嬉しかった」

ああ、安心した…

彼の嬉しかったの一言で安心している。
拓司は一人の時間も大切にする人のため、私のためだけに、同棲を提案してくれてるのかな？と少し頭によぎってしまったから…

これからどうなるか分からないけど、拓司と一緒なら大丈夫、そんな気がした。

『…改めて、これからよろしくおねがいします』
「こちらこそ、よろしくね(笑)」

04.懐かしむ
(あ、時間やばい…遅刻かも…)
(ごめん、ほんとAが可愛かったから)
(…照れる暇さえないからやめて。とりあえず、食器出して！)