〃 ページ11
「お邪魔します」
『ど、どうぞ…あっ!ちょっとまってて…少しだけ部屋の中確認したい』
「うん、いいよ、全然待ってるから」
割と日頃から綺麗にしているタイプではあると思うんだけど、変なもの落ちてないかとか…洗濯物部屋にかけてたかもとか…心配になって部屋を見回す。
よし!洗濯物なし、ゴミなし、特に問題なし。
部屋と廊下を分け隔てる扉を開けて、山本くんを呼ぶ。
『広い部屋じゃなくてごめんね、お茶入れるね』
「大丈夫だよ、気にしないでっ!」
『あっ!さっそくなんだけど、この企画書見て欲しい!』
「うんうん」
山本くんはじっくり企画書を読んでくれた。
緊張のなかに、見え隠れする恥ずかしさ。
企画書って自分の考えてることが覗かれるような感じがしてむず痒い。
「すっごい良いと思う!」
『…ほ、ほんと?!嬉しい…なんか安心した(笑)』
「アイデアが今までになかった新しさがあるし、あとは、ここを…こうしたりとかするともっと面白そうじゃない?」
『あっ!た、確かに、そうかも!』
山本くんのアドバイスは的確で、お互いに意見交換しつつ企画を練っていくのは楽しかった。
楽しい時間はすぐに過ぎていくというのは本当で、一息ついた時には話し始めた時からかなり時間が経っていた。
『ほんと、長い時間アドバイスありがとうございます』
「いえいえ、俺も勉強になったし、楽しかったから」
『いっつも山本くんに助けられてる気がする(笑)』
「んー、俺が助けたいって思ってるからね」
『さすが、山本くんは優しいからね〜』
山本くんは、言葉を少し詰まらせた。
私は少し気になって、山本くんにどうしたの?の意味をこめて、首を傾げる。
「…優しいからってわけじゃないよ?」
『…うん』
「…好きな子だから、だよ」
山本くんの言葉は私にはっきり届いていて…
何となくそうじゃないかな?と思う時もあったから、とっても驚いたわけではない。
ただ、急すぎて、上手く頭が作動してくれなかった。
「Aちゃんと付き合いたい。返事はゆっくりでもいいから、考えてほしい」
改めて発された告白は、冗談ではないことが、声色、表情、目…全てから伝わってきた。
『…わかった』
「今日はもう帰るよ…。企画通ること応援してるからっ、! お邪魔しました」
その日の夜、嬉しさと不安が葛藤しながら眠りについた。
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からす猿 - 面白かったです!あとふくらさん推しの方、占ツクであまり見ないので嬉しいかったです。更新頑張ってください。応援してます! (2019年5月28日 3時) (レス) id: eb5caa933e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:烏賊 | 作成日時:2019年5月28日 0時