慣れない痛み ページ3
女の子の日ネタがあります。苦手な方は自衛お願いします。
J.H
思えば、Aは今日の朝からどこかおかしかった。
いつもは俺たちに笑顔で挨拶をするのに、今日は小さく『……おはよ』と呟くだけ。授業中も、滅多にしない居眠りをしてトレイン先生に軽く叱られていた。
何と言えばいいか分からないが。どことなく怠そうというか、身体が重たそうな感じで、歩く速さもいつもと違っていた。
極め付けは、微かに香る血の匂い。……やっぱり、怪我でもしたのだろうか。
『……ジャックくん、エペルくん。……教室、先戻って良いよ。私に合わせてたら、二人も遅れちゃう』
三時間目は錬金術の授業。実験室から教室へと帰る途中の廊下で、Aがそう言った。もちろん、俺たちは直ぐに首を振る。
今にも倒れそうなやつを放って置けるほど、俺たちはクズじゃない。
ただ、どうしてAがしんどそうなのかが分からないのが、凄くもどかしい気分だった。
『……っ、痛……っ!』
そんなとき、Aが小さく声を上げて蹲る。その顔は、血の気がひいて真っ青になっていた。
慌ててAに駆け寄ると、Aが俺の服の裾をぎゅっと握る。その力の入れようから、Aが痛みに耐えていることが伝わった。
「っ、エペル!えっと、ユウ!ユウ連れてきてくれ!」
「分かった!」
一瞬の思索のうち、俺はユウを呼ぶことにした。
エペルは俺の言葉に頷いて、全力疾走で駆けていく。
指の先が白くなるほど俺の裾を強く握ったAは、震える声で『ごめんね』と謝った。……お前は悪くないだろ。
軽く頭を撫でてやると、Aの力が少しだけ弱まる。Aは反対の手でお腹を抑えていた。
「……腹、痛いのか?」
『……っ、う……ん』
辛そうな声で頷くAの背中を、ゆっくりとさすってやる。何の気休めにもならないかもしれないが、一応。
そうしていると、数分後にはエペルがユウとエースたちを連れてやって来た。
ユウは俺とAの状況を見て、何やら判断したらしく。持っていた教科書類をエースに預け、Aに駆け寄る。
「Aちゃん、お腹痛い以外に症状はある?」
『……気持ち、悪い……のと、身体が、怠い……。あと、頭……も』
白くなったAの手を握りながら、ユウが優しく首を傾げる。
途切れ途切れに話すAに頷きながら、ユウはAに持っていたペットボトルを渡した。
3758人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千歳 - 続けて失礼します、!リクエストで、サムさんと絡ませて欲しいのと、教師陣とのストーリーが微笑ましくて感動して大好きなのでお願いしたいです…!できればで大丈夫です!ゆっくりこれからも頑張ってください! (3月15日 23時) (レス) id: aba1b2d5c0 (このIDを非表示/違反報告)
千歳 - 初コメ失礼します!最初からずっっっと涙が止まらない最高の作品で大好きです( ; ; )恐縮ですが曲の案で、「ごめんごめん」「オレンジ」「とある一家の御茶会議」などどうかなって思いました…!少しでも足しになれば…! (3月15日 23時) (レス) @page16 id: aba1b2d5c0 (このIDを非表示/違反報告)
영어 무리 - コメントお邪魔しま〜す!これとッッッても泣けてきました(*T^T)シリアス過ぎて義家族がとッッッても恨めしく見えました…我ながらカリムの案とってもいいと思っちゃったんですよね(*>ω<*)これからも頑張って下さい♪ (2022年5月13日 21時) (レス) id: 9c10c18c2c (このIDを非表示/違反報告)
Kazunoko(プロフ) - 初コメ失礼します!リクエストさせていただいてもいいですか?イベントか何かのアフターパーティーで夢主ちゃんがドレスアップして、みんなとダンスする…というようなのを見たいです。突然すみません…。これからも頑張ってください! (2021年9月12日 20時) (レス) id: 38c9d09af9 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 自傷無色とかLIFEとかDAYBREAKFRONTLINEとかどうですか? これからも頑張って下さい (2021年5月17日 0時) (レス) id: af3d8466e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ鍋 | 作成日時:2020年11月22日 22時