その少女、食堂 ページ12
「……小鬼ちゃん、小鬼ちゃん」
サムさんの声と、身体を揺すられる感覚。
ゆっくりと目を開けると、優しい顔をしたサムさんが私を見つめていた。
『……ん』
「ゆっくり休めたかな？もうお昼の時間になったから一応起こしたよ。……食堂に行ってみるかい？」
そう笑うサムさん。
私は回らない頭でサムさんの言葉を反芻し、繰り返した。
『しょくどう……？』
「そう、食堂。ここの食堂は美味しいものがいっぱいだからね、行ってみるといいよ」
『……そうですか、では行ってみます』
ベッドから降りて服装を整える。
サムさんが持ってきてくれた手鏡で寝癖を治して、私はお店を出た。
私はサムさんがくれた地図を片手に、食堂へ向かう。
昼だからか、食堂はとても混雑していた。
『……えっと、あそこ……かな』
食堂の中に、人がたくさん集まっている場所が一つあった。
私は人混みに近づいていって、ゆっくりとその中に入っていく。こういう時身長が低めだと便利よね。
すいすいと人混みを掻き分けていき、私は数十秒で人混みの中心についた。
中心で売ってあったのは美味しそうなパン。いくつものパンがずらりと並んでいた。
それを売っているのはゴースト。……初めて見たかも。
「おや、新入りかいお嬢ちゃん。何が欲しい？サービスしてあげよう」
『えっと、このデラックスメンチカツサンドとタマゴサンド。それから、クリームパンと焼きそばパン。……サービスはいらない』
ゴーストさんがそう言って笑うが、私は慌てて首を振る。サービスなんていらない。
お金はクロウリーさんやクルーウェルさん、サムさんから少しずつもらった。
ゴーストさんは「そうかい？」と言った後、私にパンを五種類……五種類？私が頼んだのは四種類だったはず。
私がゴーストさんを見ると、ゴーストさんは素知らぬ顔でパンを売り始めた。
『……ありがとうございます』
「……あー、デラックスメンチカツサンド無くなっちゃったっスかぁ」
頭を下げる私の横で、残念そうに声を上げる人影。
顔を上げて隣を見ると、クリーム色の髪の毛をした男の子が立っていた。
耳があるから、獣人……なのかな。
男の子はため息をついた後、辺りをぐるりと見渡す。……当然、すぐ隣にいた私とも目が合うわけで。
男の子は私がデラックスメンチカツサンドを持っていると分かると、顔を輝かせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2413人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推しが尊い - 先生まじで優しすぎて泣く。好感度がバク上がりした (4月27日 0時) (
レス) @page46 id: 653187292b (このIDを非表示/違反報告)
Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…！義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました！何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです！完結おめでとうございます！ (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが？！！好きです！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2020年9月18日 16時
