Primrose. (ページ33)

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雰囲気がどこかいつもと違って

これまでに無いくらい
心臓が早くなってるのを感じる

樹「覚えてる？Aちゃんのクリスマス俺にくれたらその時欲しい物プレゼントするって言ったこと」

『え、うん、覚えてるけど』

スっと手を繋いでいなかった方のポケットから

出てきたのは、今日一緒に見たお店の入れ物

樹「後ろ向いて？」

言われるがままに後ろを向くと

胸元に冷たいものが触れて、見てみる

『待って待って、嘘……』

樹「仕事頑張ろって言ってたでしょ？」

『でもこれは…高すぎるよ？私のあげたやつなんて、これのなん分の1…』

樹「値段なんて関係ないって、俺こそプレゼントなんて貰えると思わなかったから」

泣きそうになりながらネックレスに触れた

その瞬間に

初めての経験だった。

涙が溢れた。

わからない感情。これは何？

唇が熱くて、きっと一瞬だったのに

凄く長いこと熱を感じてた気がした。

不意打ちのキス

俯く私に、掬い取るような優しいキス

樹「ごめん、俺が泣かせてる、ごめん」

違う。ビックリしたの。

ファーストキスだったの。

でも、樹くんに怒りはなくて

ちょっと幸せだって思っちゃった自分もいた。

『ごめん、帰る』

そう言って走り出した。