Primrose. (ページ11)

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『樹くん、今日はありがとう』

樹「こちらこそ。楽しかったよ」

『北人には…内緒でお願いします。』

樹『Aちゃん、ほんとに初恋って実らないのかな?戦う前から諦めてたら意味無いと俺は思う。
それじゃあ、おやすみなさい』

樹くんの真っ直ぐな瞳が私を捉えて言った。

自分でも分かってた。これは逃げだって…

「A……」

名前を呼んだ声の主は

『ほ、くと??』

いつからいたの?まさか聞かれてた?

それより…

見られてた??

北人「ねぇ、何で騙した?樹と飯ならそう言えばよかったじゃん。それともなんかあんの?」

『ちがっ…』

北人「好きなの?」

『へっ…?』

北人「だから…樹のこと好きなのかってきいてんの。」

喧嘩する時の口調、私の嫌いな北人。

何も知らない癖に。

物心ついた頃からずっと…ずっと北人だけ好きなのに。どうして私の恋愛事情に怒ってんの??

『関係…ないでしょっ?!だいたい北人は私のなんなのよ!ただの幼馴染じゃない。』

北人「"ただの"って何だよ?!俺は…俺は………
もういい。気分悪いし今日は帰るわ」

＂俺は＂なんなのよ。

北人のバカ。

喧嘩なんてしたくないのに…

樹のこと好きなのかって聞かれた時に

素直に私が好きなのは北人だって

素直に言えたら良かったのに…