un cuoco curioso① (ページ9)

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【中等部】08 ページ9

Aはゼミの食材からいくつか頂戴した後、葉山と汐見と連絡先を交換し極星寮に向かった。
城一郎は人と会ってくると言いそのまま別れた。

汐見がゼミから極星寮までの最短ルートを書いた地図を貰った為、そこまで時間を掛けずに目的の極星寮に着くが、Aはその外観に固まる。

西洋の建物に蔓延る蔦はホラー映画でよくある廃屋の様な佇まいであった。
とりあえず入ってみようと思いAは扉横にあるチャイムを押した。

暫くして年配の女性が玄関を開け、Aの姿を見遣る。

ふ「入寮希望の子だね？食材は持ってきたかい？」
『はい。』

汐見が教えてくれた様に入寮テストの内容は１品作ると言うもの。
ゼミで浮かんだメニューを葉山が温室で教えてくれたスパイスの有効性を元にポテトスフレを作り、Aは一発合格で入寮した。

与えられた部屋でAは荷物を整理した後、葉山と汐見ついでに城一郎に無事入寮と連絡すると葉山から数秒で電話が掛かってきた。

葉《入寮出来てよかったな。何作ったんだ？》
『ポテトスフレ。アキラがくれたスパイスで簡単に作れてアレンジしやすいのにした。』
葉《早速役に立って良かったよ。あ、嗅覚訓練やる前にAには先にスパイスの香りを覚えさせるって潤が言ってた。》

行き成り嗅覚訓練と言っても個々のスパイスの香りを知らなければ意味が無いと葉山は言う。

『分かった、いつ行けば良い?』
葉《入学したばっかだから午後からで良いって。》
『ん。了解。』
葉《あ、そうだ。Aはコックコート持ってるか？》
『コックコート？持ってないけど。』
葉《潤が俺のコックコートを買う時に色で迷って、さっきどっちが良いか聞いてきたんだ。それが黒と白でさ、持ってないなら白の方使ってくれないか？》
『……良いの？私が着ちゃっても。汐見さんがアキラの為に買ったやつでしょ。』
汐《良いよ!!寧ろ葉山君と色違いのお揃いで着て欲しいな!》
『わっ！汐見さん…。』

葉山はスピーカーで通話してたらしく、横で聞いていた汐見が口を挟む。
汐見的には葉山が友人と過ごす時間を見たいと思うのと並行してスパイスに興味を持ち葉山の友人第一号としてAに甘くなっていた。

『汐見さんがそう言うなら私は良いよ。』
汐《やったー！明日の放課後、ゼミに来た時に一回着てみようね？葉山君のサイズで買ったから丈とか詰めないといけないし。》

汐見がそう言うならと思いAは汐見の申し出を受け入れた。