un cuoco curioso① (ページ50)

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【中等部】49 ページ50

Aも葉山も不安に思う所は無く、ただ平然と進級試験の内容が評価かと思っていた。

講「では、調理を始めろ。」

ざわつく生徒を他所に講師が開始宣告を言ったのを聞きAに続き葉山も調理に入る。
出遅れた生徒達は慌ただしく調理を開始するが、この教室内で最も速いAに遅れて続く葉山には既に追い付けなかった。

Aも葉山もお互い助言することなく淡々とレシピ通りに調理を進めていると隣の調理台から器具が落ちる大きい音が鳴った。
距離が近かった為Aも葉山も音に驚き横目で伺うと、極星寮の田所がわたわたと落とした器具を集めていた。

『(…うるさいなぁ)。』
葉「(ビックリした…。)」

田所を気にする様子を無く黙々と調理を続け最初にA、少し遅れて葉山が講師に審査をしてもらい安定のA評価で授業を終わらせた。

葉「やっぱ速さじゃ勝てねぇわ。」
『でも最初の頃より速くなってるじゃん。それに単独の時でもA評価取れてるし。』
葉「わざわざレシピがあるんだから取れるだろ。」

Aは勿論葉山も入学以降A評価とA+評価しか取っておらず、葉山に関しては汐見が親代わりの上身元引受人が遠月在籍の教授という事でやっかまれる事があったが単独の調理でも高評価を出していた為次第に無くなっていった。

世間話をしつつ器具を片付け終えると、Aと葉山は暇を持て余しておりどうしようか話してると講師から戻って良いと言われた為ありがたく更衣室に向かう。

教室に戻ったAと葉山は次のコンクールを調べつつ、雑談しながらHRまで時間を潰す。
ふとAは先日のコンクールで審査した美食家からジビエに興味無いか聞かれ、もし興味があるならと名刺を貰っていた事を思い出した。

『ね、ジビエ料理やってみない？』
葉「ジビエ？…あぁ、この間貰った名刺の人か。」
『うん、しかも今は春だし山で狩るなら筍とか取れるかな…。』
葉「ジビエか…スパイスで臭み抜きが試せるな…。」
『……連絡してみようか。』

自ら連絡しようとするAを見ながら大丈夫かと葉山は不安になるが、たどたどしくも用件を伝えると相手も電話越しでも聞こえる程大喜びな為安堵した。

『…アキラも一緒で大丈夫だって。日にちは来週の土曜日の9時。』
葉「来週は特に来客も無いし大丈夫。場所は？」
『なんか、遠月まで迎えに来てくれるって。』
葉「マジか…。」

礼として向こうで何か作れるよ様に多めにスパイスを持ってこうと葉山は考える。