un cuoco curioso① (ページ49)

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【中等部】48 ページ49

年末恒例のおせち地獄を乗り切り、竜胆が突撃してくることもえりなが接触してくくる事も無くAは中等部３年生になった。
ちなみに冬の間は週に１回か２回のペースで葉山と偶に汐見も交えて様々な種類の鍋を堪能した。

２年の春から出場をしては優勝を繰り返したAは３年に上がる頃には既に60以上のコンクールを制し国内の美食家界隈では'中村A'として有名になっていた。
参加するコンクールのグレードはどんどん上がっていき、美食家の推薦などで本来参加は出来るが書類審査で落とされそうなコンクールにも出場し最年少でグランプリを取ったが、才波を名乗っていない為生徒達は知らなかった。

葉「バレたら十傑入りとか噂されそうだな。」
『ヤダ、絶対無理。』
葉「知ってる。あの先輩も十傑だからな。」

竜胆の突撃を思い出しAは嫌そうに顔を歪ませるが、葉山はAがここまで評価されてる事実に素直に喜んでいた。

3年に上がってからは後半に内部進学試験がある為、各々腕を磨いたり知識を増やす期間を有効活用しなければならない。
2年より集まる機会は少なくなったが最低でも月に1回はAと葉山、編入組の6人で集まり進級試験の話やAのコンクールについて話し合っていた。

Aも流石に内部進学試験に備える為今までよりコンクールの出場回数を抑え葉山と共に汐見の研究を手伝ったりスパイスの栽培をしつつ、2年間欠かさず行った訓練のおかげで葉山の下位互換ではあるが嗅ぎ比べなどは出来るようになっていた。

『昼休みの後って実習だよね。』
葉「あぁ、スペイン料理だ。」
『今日は何作るんだろうね。』

授業内で作れる物だしそんな難しいのは出ないだろと葉山は言いつつAと共に昼食を摂った後、授業の準備を進め調理室に向かう。

調理室には極星寮の者が二人ほど居たが特に声も掛ける事無くAと葉山は隅の調理台に向かい既に用意されているレシピを覗き込む。

葉「エンパナディージャか。」
『お昼の後に揚げ物ってキツイね。』
葉「だな。」

葉山と共にAはレシピを確認しながらこの食材を使っても良いと話していると、生徒と講師が揃い授業が開始された。

講「本日の授業は一人で行ってもらう。ペア同士での手助けは一切禁止だが助言は良しとする。」

講師のその言葉に生徒達はざわつくが、講師は気にせず後期の授業ではこれに内部進学の評価となると伝えると不安緒ある生徒は顔を青くさせる。