un cuoco curioso① (ページ48)

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【中等部】47 ページ48

どうしようと慌てる吉野達を他所に葉山はまた寝そうなAを再度起こす。

葉「A、二度寝するな。」
『んー…。』
葉「しょうがねぇな。」

葉山は炬燵の暖かさで二度寝しそうなAを抱え勉強机の椅子に座らせる。
炬燵から出た事で寒さを感じたAは漸く覚醒した。

『寒っ…。』
葉「あのまま炬燵に入ってたら寝るだろ。」
『うん。………さっさと消えてくれない？』

寒さで覚醒したからかAは漸く吉野達を視認し嫌そうに顔を顰める。
対して吉野達は普段の自分達へのAから対応と葉山に対する対応の差を目の当たりにした。

椅子から立ち上がったAが吉野達に詰め寄ると反動で後退した吉野達はそのまま部屋を出た瞬間締め出された。

吉「あ！ちょっと！聞きたい事が…！」
榊「はぁー、だから言ったじゃない。やめなさいって。」
吉「りょ、涼子～！」
伊「ま、どんまい。」

締め出された吉野は榊に泣き付くが、榊は自業自得だと言い今後は気を付ける様にと説教をする。

扉と鍵を閉めたAは不機嫌そうにベッドの淵に腰を下ろし、葉山も呆れたような顔でAに並ぶ。

葉「はぁ…悪い、俺が最後鍵掛けてれば良かったな。」
『うぅん、鍵掛けててもしつこくノック…というか扉叩くから。』
葉「マジか…。ま、突き放しとけば良いけど、寮生活だから回避出来ないか。」
『総スルーしとけばいいかな。榊さんが止めてくれるし。』
葉「榊？…玄関で会ったやつか？」
『そう、いつも止めてくれてくれる人。』

やはり良心的な人の様で葉山は安堵するが、懲りなさそうな奴だしどうだろうと思案する。
Aはおもむろに立ち上がり毛布に巻かれた土鍋を取り出すとコンロに置きふたを開けた。

余熱で味を入れたおでんの様子を見る為葉山もAに並び鍋を覗く。

葉「お、結構染み込んでるな。」
『大根もかなり軟らかくなってていい感じだね。』

Aはコンロの火を付け温め直しつつ切っておいたはんぺんを取り出し鍋に加えた。
ある程度熱が入ったおでんから汁を掬い小皿に移してAと葉山は味の確認をする。

『…うん！美味しい～。』
葉「はー美味いな、出汁が良い！冬におでんって良いな。」
『今度は鍋やろうよ。』
葉「いいな。何鍋にする？」
『きりたんぽ鍋とか石狩鍋か？美味しいよ。』
葉「どっちも食べた事は無いな…。」

じゃあ日を置いて両方作ろうというAに葉山は了承し、出来上がったばかりのおでんを堪能する。