un cuoco curioso① (ページ43)

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【中等部】42 ページ43

司は竜胆の力業によって担がれたAに申し訳ないと思いとりあえず下ろす様促す。
しかし下ろされたAは逃げようとした為に竜胆に後ろから抱き込む様に羽交い絞めにされる。

男「さ、才波さん…!?」
男「やばいっ、早く葉山と編入組に言わないと…！」

先程聞き込みしていた後輩達は慌てたように今所在が分かる者の所へ駆け出して行った。
司は暴れるAに謝罪しつつ何故連れてきたのか竜胆に聞く。

竜「いい匂いがしたからさー。この子が作った料理がめっちゃくちゃ美味くて連れてきちゃった！」
司「竜胆……、いきなり連れてきたらこの子だって驚くよ…。ごめんね、竜胆が迷惑を掛けて。」
『………。(力強い…！ゴリラか!)』
竜「ほらー、暴れんなよー！」

何も答えないAに司は困惑するが、竜胆は気にせず暴れるAを抑える。
竜胆が来た方向から数人の足音が聞こえ、司はさっきの後輩かと顔を向けると焦った顔のタクミと恐ろしい形相の黒木場が向かってきていた。

Aの状況を目視したタクミと黒木場は全力疾走に切り替え更に近づき、先頭を走る黒木場は竜胆からAを力づくで回収した。

黒「放せやゴラァ―――!!」
『…!?』
タ「待て黒木場！Aが驚いて固まってるだろ！」

急に竜胆から離され黒木場に担がれたAは驚いた顔をするが、竜胆から抜け出せた事に安堵した。
タイミングよく別の通路から走ってきた葉山がAと合流した。

葉「A！大丈夫か!?」
『アキラ…。』
黒「葉山ぁ、こいつに何もされねぇ様にA担いどけぇ！」
タ「いや、下ろしても良いと思うが…。」
葉「わりぃな黒木場、助かった。」

黒木場はAを葉山に預けた後竜胆と司に食い掛かっていた。

葉「A、大丈夫か？」
『……あの人ゴリラかなんかなの？凄い力強かった…。』
タ「凄い暴れてたな…(ゴリラ…)。」
葉「ま、無事なら良かった…。おい黒木場ー、戻るぞー。」
黒「……チッ!!」

まだ言い足りないのか黒木場は舌打ちをしながら合流するが、司が'中村A'について聞いてきた。

葉「'中村'は知りませんね。」
司「そうか、ありがとう。本当に竜胆が申し訳ない事をした。」
『………。』
タ「彼女、人見知りなので。」

葉山とタクミがそう言い返し、荷物が置いてある調理室に向かい歩き出す。
離れていくAを司に怒られ不貞腐れていた竜胆は見つつまた今度遊びに行こうと密かに考えていた。