un cuoco curioso① (ページ42)

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【中等部】41 ページ42

ア「教室を出た時に先輩から'中村って奴知ってるか？'って聞かれたわ。」
イ「やっぱり苗字だけで聞いてきたねー。」
葉「それなら良いけどな。」
タ「フルネーム、それか名前で聞かれたら'才波'じゃないのかって思うやつも居るだろうな。」
『…放課後もこんな感じかなぁ。』

疲れるなと愚痴を零しながらAは昼食に手を付ける。
それぞれ作った昼食を取りつつお互いにおかずを交換しながら今後の先輩の対策と次のコンクールの出場を話し合う。

教室に戻る時には既に先輩の姿は無く、放課後も鉢合う事無く無事にゼミで嗅覚訓練を行った。
それから数日、Aは上手く回避しつついつも通りの生活を過ごしていた。

申請した調理室で魚介料理を教えてくれる黒木場と共に週末に出場するコンクール用の料理の最終試作を行っていた。
葉山はこの日ゼミの来客がある為不在だが、Aは今しがた完成した皿を写真に収め葉山に送っていた時勢いよく扉が開いた。

黒「うるせぇぞゴラ――ァ!!調理中に入ってくんじゃねぇぇぇえ!」

調理中の為バーサークモードの黒木場が扉を開けた人物に怒鳴りつける。

竜「アハハッ、ごめんって～。いい匂いがしたからきになってなぁ？」
『…(報告しよ)。』

出てけと怒鳴る黒木場を他所に竜胆はずかずかと調理室に入りAの品を眺める。
それを横目にAはグループで全員に竜胆が調理室に入って来たと報告を入れた。

竜「なぁ！これ作ったのお前？食べていいか？」
『………。』
竜「なんだよぉ、先輩を無視しちゃいけないんだぞー！」
『(煩いなぁ)……それ食べたら早く消えて下さい。』
竜「お！いいのか！じゃあいただきまーす！」

Aが作った品を竜胆が口に運ぶと、脳や腰に強い衝撃が走るほどに美味だと感じた。
司の品と同レベルとはいかないが、十傑になっても可笑しくないAに更に興味が湧く。

竜「…うまい！」

そういいつつ次々と口に運び完食した竜胆はAを担ぎ調理室を出て行った。

『…ッ!?』
黒「………はぁぁぁぁ!?」

突然担がれたAは現状が理解できず固まり、黒木場は竜胆がAを颯爽と連れて行った光景を眺め理解出来た後に叫ぶ。

担がれたままのAは逃げようと必死に身動ぎするが力強い竜胆に敵わないまま司の所まで連れて行かれた。

竜「司――――――！面白い奴いた―!!」
司「え…？」

Aの名前で聞き込みしていた司は竜胆の言葉に振り返ると顔を真っ青にした。