un cuoco curioso① (ページ5)

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【中等部】04　※7/5修正ページ5

どういう経緯でスパイスに興味を持ったのかは分からないが、スパイスを研究する汐見にとっては嬉しい事この上ない。
しかし、Aは配合を試しても嗅覚が普通レベルの上嗅ぎ分けが出来ず失敗が多いと零す。

葉「……嗅ぎ分けじゃないけど、嗅覚を鍛える事なら出来る。」

今までずっと沈黙していた葉山が口を開く。
汐見に拾われた後に嗅覚について調べたのか、嗅覚訓練という療法があると知っていた。

葉「朝と夜に最低でも3種類の匂いがする物を嗅ぎ分けるってやつだ。確か…最初は好きな匂いから始めるのが良いって書いてあったな。」
『…。』
葉「…。」
汐「そ、その匂いをスパイス置き換えて訓練するのも良いかも！」

葉山はAに提案するがAは目を合わせてくれず、居た堪れない汐見がフォローをする。
だが、この空気を敢えて読まないのか城一郎はAの髪を混ぜる様に撫ぜる。

城「どーしたA～。また人見知りかぁ？」
『……。』
葉「人見知り…。」
汐「え、そうなの！？」
城「あ～、人見知りなのは変わらないが…。小学生の男子によくあるだろ、好きな子の気を引こうって虐めちゃう奴。」

気を引こうとつい虐めてしまう男子小学生の話であるが、それは大概好意を寄せる女の子に嫌われる悪循環。
Aも例に漏れずそれと同じであり、冷やかす女子もいた為同年代すら毛嫌いしていた。
この場にいる葉山も同様に自己紹介の一瞬以降目を合わせてない。

葉山は汐見に連れられ遠月に来てから入学までゼミで一般教育を受けていた為に同年代の諸事情を知るとこも無かった故に好きなのに何故虐めるのかが理解できなかった。

葉「好きなのに虐めるって、意味わかんねぇ。」
城「ははっ！だよなぁ～。」
汐「結局嫌われちゃう原因だからね。葉山君はそんな事しちゃ駄目だよ！」

これから思春期を迎えるであろう葉山に汐見から注意されるが葉山自身はそれが理解出来ないしそんな無意味な事をするつもりは無い。