un cuoco curioso① (ページ38)

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【中等部】37 ページ38

スチコンを待つ間Aは器具を洗いつつ、思いの外食材が多く作り過ぎたと考えていた。
念の為に保存容器はあるし持って帰ろうと思案する。

これ以降使わない器具を片付けていると漸くスチコンの設定時間が終わったのか軽い音が鳴りAは仕上げの工程に入る。

フレンチにある美的要素を加え鮮やかな品を作り上げ、開始から1時間と少しで最初の審査が行われた。
審査員達も制限時間の半分ほどで作った品がどれほどの物か見目は評価したがあまり期待していない様に試食に入る。

審査員が脳で思い描いたのは、服が弾け飛ぶ程の美味。
そして今まで味わった事が無いほどの強烈なカニの旨味と爽やかなスパイスの香りに浸っていた。

『(…反応は、良いのかな？)』

口にした後、審査員達が感想を述べない事にAは不安がるが余韻を堪能した審査員達は口々に絶賛しまたAの料理を口に運ぶ。

葉「ま、そうなるわな。」
ア「うふふっ！」
タ「流石Aだな！」

Aの品を完食した審査員達は審査用紙に評価に繋がる点数を記入した後、Aの品の評価を一心不乱に書き殴っていた。

Aの審査から暫くして次の参加者を皮切りに次々と審査が行われ、集計の為の待ち時間となった。

既に審査を早々に終わらせたAは器具も片付け終わり暇を持て余しながら結果を待った。

司「長らくお待たせ致しました。これより結果を発表いたしますので参加者は壇上にお並び下さい。」

集計結果が出た事で司会から指示があり、Aは他の参加者同様に壇上に並ぶ。

司「それでは結果発表致します。本コンクールの優勝者は"中村Aさん"です！」

司会の言葉に葉山達はさも当然と言った顔でAを見る。
観客席からは参加者とは無縁の人たちから賛辞を贈られる。

司「優勝された中村さんに一言頂きたいのですが…。」
『……。』
｢｢｢｢｢(絶対無理！)｣｣｣｣｣

Aから一言貰おうとするが葉山達は人見知りのAが言えるとは思えないと思いつつ見守る。

『………審査員の方達、…実食した後にすぐ感想を言ってくれなかったのが…不安でした。』
｢｢｢｢｢(言えた……!!)｣｣｣｣｣

Aの言葉に審査員達は戸惑いつつも実食時の感想を事細やかに口にし、素晴らしい料理でありもっと上のコンクールに出た方が良いと言う。

『…ありがとうございます。』

満足してくれた事に納得したAはトロフィーを受け取った事でコンクールは終了した。