【中等部】36 ページ37
調理の開始を宣告されたAは参加者の中で一番最初に下準備を終わらせ余裕の表情で次の調理に入る。
メインとなるカニを部位ごとに分け、必要な部位だけ低温調理に設定されたスチコンと遠心分離機にセットしていく。
ア「うん、設定もちゃんと出来てるし使い分ける部位も合ってるから大丈夫そうね。」
タ「遠心分離機を使うのか…。」
イ「落ち着いて調理できてるし、ぱっと見だけでも他の参加者より速いね〜。」
葉「…今の所、脅威になりそうな参加者はいないな。」
黒「……次はもうちょい上のコンクールでも良いかもな……。」
各々Aの調理を見つつ感想を述べるが、食戟とは違い審査員達は調理工程を審査に含めない為かあまり見ておらず審査員同士で談笑していた。
タ「…随分不躾だな。調理も審査の対象だと思うが…。」
黒「……ま、こんなもんだろ。…もう少し上のコンクールなら調理工程も含めて審査するからな…。」
ア「やっぱり…当たって砕けろ？みたいな感じで最初からハードル上げた方が良かったかしら？」
タ「恐らくその方が良かったかもしれないな。このコンクールだとAの品は他と比べるまでも無く圧倒するだろう。」
タクミは他の参加者の調理工程を見つつ、そう言い切るとアリスは他の参加者を見る事無くAの調理だけを見ていた。
ア「それはそうでしょう。だってAはえりなを罵って尚、授業の評価で勝てちゃう料理人なのよ？こんなレベルの低いコンクールでAが負けるなんてあり得ないわ。」
タ「…随分とAを見込んでいるんだな。」
ア「お友達なんだから当たり前でしょう！」
それに同年代で初めて出来た同性の友人だと言うアリスに葉山はそれはAもだと答える。
葉「兄の友人が同性だったからそこそこ仲が良かったらしいけど、料理人だと薙切がAにとって初めての同性の友人だってよ。」
ア「………本当!?」
葉「あぁ、前に薙切が食戟した日の夜にAが言ってた。俺もAに同性の友人が出来て安心したよ。」
イ「そうだねー。Aちゃん、慕われる事はあっても友人って感じじゃなかったからね。」
黒「……Aの調理見ないのかよ……。」
｢｢｢｢それはちゃんと見てる。/わよ！/よー。｣｣｣｣
Aの方は順調どころか余裕で手間のかかる調理を終え、ソースの煮詰めとスチコンが終わる隙間時間で使った器具を洗っていた。
(編入組が名前で呼んでるのは海外生まれと距離を感じるという事です。)
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作者名：水煮缶 | 作成日時：2023年6月30日 0時
