un cuoco curioso① (ページ31)

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【中等部】30 ページ31

パッと見では何に使う機材かは分からないが、研究会に比べアリスが持ち込んだ機材の量は多かった。

『本当に化学実験だね。』
葉「あの機材で調理か…。」

未知の分野で同様な料理を作るのかAと葉山が思案していると定刻なのか研究会の部長とアリスが調理台に立った。

司「双方の合意を確認致しました。それでは…調理開始!!」

司会のスタートで双方調理に入るが、それはA達の調理方法とか異なり手作業もあるが殆どが機械を使用し元の食材の形が分からなくなっていた。

『…さっきあの機械にトマトのピューレを入れた容器をセットしてたよね…？』
葉「入れてたな…。最終的に液体…？」

仕上げ工程は流石に手で行っていたが、皿には美術造形の高い料理が出来上がる。

既に味の予想は出来ず、Aも葉山も揃って困惑しながら審査を眺める。
食戟はアリスの圧勝であり、最先端料理研究会の部室はアリスの物となった。

人混みを避ける為殆ど人が居なくなった会場から部室に向かうと先程食戟していたアリスと機材を運んでる黒木場がいた。

ア「とりあえずはこの部屋を好きに出来れば文句ないわ。あっ、リョウくん小腹空いてない？」

座り込んでいた為分からなかったが、先程負けた研究会の部長が居た事をAは知ったが特に声は掛けない。

ア「あらっ！Aちゃんも来たしお茶にしましょうか！」
黒「………俺が淹れるんすね…。はいはい…。」
葉「(先輩を放置してるがいいのか…？)」
『……。』

アリスも黒木場も元部長を気にする素振りも無くお茶の準備を進めていたが、諦めた元部長はフラりと立ち上がると静かに部室を出て行った。

ア「そういえば、貴方は初めましてね？薙切アリスよ。」
葉「葉山アキラだ。よくAと会話出来たな。」
ア「クラスメイトから口酸っぱく言われたのよ。それに分子美食学(分子ｶﾞｽﾄﾛﾆﾐｰ)について教えたらお喋り出来たの！」

黒木場がお茶を入れながら俺がフォローしてたんすけどねという呟きを聞いた葉山はすこし危機感を覚えた。

一方アリスは食戟の感想をAに求めており、Aも食戟で使用した機材や調理方法を質問していた。

葉「(…危ないかと思ったけど大丈夫だな。)さっきの食戟で作った料理って何なんだ？」
ア「そうねぇ～…、実際食べた方が早いわね。リョウくん、食材の準備を！」
『(…近くで見れる。)』

善は急げとばかりにアリスは調理の準備に入り、先程の食戟同様に調理を行っていく。