un cuoco curioso① (ページ25)

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【中等部】24 ページ25

思った以上に神経を使ったのかAはグデっと椅子に寄りかかっている。
流石にタクミ達が居たとは言え意地の悪い事をしたと思った葉山はAに休むよう言い小皿を片付ける。

汐「凄いねAちゃん！良くできましたー！」
『…ありがとうございます。』

1年もAの嗅覚訓練を手伝っていた汐見は幼児にやる様な褒め方でAの頭を撫でて褒める。
される側のAも満更でなく素直に受け入れている光景を眺めるタクミは素直に可愛いなと思いつつ眺める。

タ「1年これをやってたのか…。」
汐「嗅覚訓練は毎日やってるよ。Aちゃんはスパイスに興味はあったけど嗅覚が人並だからスパイスを教わりつつ訓練してくれって才波先輩から言われたの。」
タ「才波先輩？」
汐「私が遠月に通ってた時の先輩でAちゃんのお父さんだよ！…まぁ、良い思い出は無いけど。」

汐見から訓練に至るまでの意図を知ったタクミは、Aが1年どれ程頑張って習得した嗅ぎ分けに尊敬の念を抱く。
匂いは料理において大切な要素であり、食べる楽しみを増やす要素の一つ。
しかもスパイス料理であれば匂いは必須であり、それを作る為に嗅覚訓練を行うAは何処まで極めるつもりかと思いつつタクミは負けてられないと強く思う。

タ「…やっぱり、勝負したいな…。」
『…？』
汐「勝負？」
イ「ダメだよ兄ちゃん。才波さん、勝負事とか嫌だと思うよ～。」
タ「うっ…！それは分かってるけど…！」

Aも汐見もタクミの発言を不思議そうに聞く。
タクミは編入後にAが自分と同じプロの料理人であると知りどちらが優れているか勝負
をしたいと思ってはいたがAは女性であり1年時同じクラスだった生徒からの助言で一方的に勝負を挑むことは無かったが、出来る事なら挑みたい。

タ「あっ、えっと…その……。」
『………食戟？』
タ「食戟？」
汐「あぁ、編入したばかりで知らないよね。」

汐見はタクミとイサミに遠月にある料理による勝負【食戟】を説明する。
説明を受けたタクミは勝敗ごの条件がある食戟も良いがそれでは意味が無いと思い、今まで抑えていた感情を抑えずAに申し出る。

タ「同じ現場を知るプロの料理人としてどちらが上か、評価で決めたかっただけだ！」
『………。』
イ「ちょっと兄ちゃん！才波さんが驚いちゃうから！」
タ「ｱｯ！…す、すまない才波さん…。」

Aは驚いた様に目を見開いてタクミを見ているが、口を開かない。