un cuoco curioso① (ページ24)

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【中等部】23 ページ24

校舎を出て暫く、タクミ達はAと葉山の案内の元汐見ゼミを訪れた。

汐「葉山君、Aちゃんおかえりー…、お友達!?」
葉「ただいま。友達っていうか、こいつ等がAの嗅覚訓練と試作に興味あるって言うから連れてきた。」
『潤さんただいまー。』
タ「あ、編入したタクミ・アルディーニです。」
イ「弟のイサミ・アルディーニです。」

今お茶を用意するという汐見を葉山が止めた。
これから嗅覚訓練を行うからその後にしろと咎め、萎れる汐見を横目に葉山は荷物を置き準備を進める。

葉「Aは2人と一緒に部屋に行ってろ。今日は10種類でいくぞ。」
『分かった。…こっち。』
タ「あ、あぁ…。」

Aに促されタクミ達は部屋を移動する。
嗅覚訓練をどう行うのか知らない二人はAの後を追い、いつも使っているであろう部屋に入る。

タ「ここは…？」
イ「テーブル以外何もないねー。」
『…。』

Aは黙々と椅子を出したり窓を開け籠った空気を換気しているが、タクミ達は物の少ない部屋に戸惑う。
不意に扉がノックされ、僅かに開けた隙間から汐見が声を掛ける。

汐「Aちゃん、始めるよ。」
『窓閉めるからちょっと待って下さい。』

そういうとAは換気の為開けていた窓を閉め、椅子に座った後アイマスクを付け汐見に合図を送る。

スパイスが乗せられた小皿を片手に葉山が部屋に入りAの傍にあるテーブルに乗せる。

『カルダモン。』
葉「OK、次。」

葉山が持ってきた小皿に乗るスパイスを匂いだけで言い当てると、扉越しに汐見から新たな小皿を
受け取りテーブルに置くという作業が続いた。
タクミ達も最初の方は試しにAと同じ様に匂いで当てていたが、徐々に増えていく匂いで後半は視覚情報を拾っても知らないスパイスの為分からなくなっていた。

『…セロリーシード。』
葉「OK。次で最後だ。」

静かな室内に最後の小皿が乗る音が響く。

『………ロングペッパー？』
葉「正解だ。お疲れ。」
『はぁ――…。』

7種類を超えた辺りでAも匂いだけで判別し辛くなったのか全神経を嗅覚に振った為少し疲れた様にアイマスクを外す。

イ「お疲れ様ー。」
タ「おつかれ、才波さん。しかし凄いな…オレ達は後半から見てたけどスパイス自体詳しくないから分からなかった。」
葉「まぁ、1年もやってるからな。態と生の状態だと匂いが薄い物も混ぜるけど今日は全種嗅ぎ分け出来たな。」
『……疲れた。』