un cuoco curioso① (ページ23)

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【中等部】22 ページ23

中々タクミの質問に答えようとしないAに葉山がフォローを入れた為Aは渋々頷く。

葉「薙切みたいに侮辱する為に聞いたんじゃないんだろ？」
タ「え？あぁ、日本の大衆料理店が気になったんだ。それにオレ達は料理人だ、店を侮辱するなんて失礼だろ。」
イ「あーそっか、昨日聞いたけど去年の事があったからかー。」
『……食事処。』
タ「!!…食事処？」
『和食中心に中華や創作料理を出してる。』

淡々と返すAにタクミは会話出来た事に喜びを覚え更に質問をしようとしたが、担任が入って来た為聞くことが出来ないまま授業を受ける事になった。

放課後になりタクミは取り囲もうとする女子に断りすでに帰り支度をしているAの元へ向かう。

タ「才波さん！朝の続きなんだが、聞いてもいいか？」
『………何？』
タ「(良かった、返ってきた。)今朝創作料理も出してるって言ってたが、どんな料理なんだ？」

伺うような視線を受けたが返事が返ってきた事に安堵し、質問を続ける。

『……元々ある料理を別の調理方法に置き換えて作ったやつ…とか。』
タ「調理方法を置き換える…。」

自分は考えた事無かったが面白いとタクミは純粋に感心した。
一般的なレシピを他の調理法で作る事は試したことが無いと同時に強い関心を覚えた。

タ「……そんな事、考えた事無かった…。置き換えるか、面白いな。」
『…。』
タ「あ、馬鹿にしたい訳じゃないから！只オレは置き換えるなんて考えた事が無かったから感心してるんだ!」
『…そう。』
葉「…ん？なんだ、大丈夫そうだな。」

葉山はタクミがAに絡んでいる事を横目で見つつ観察していたがそろそろゼミに向かいたい為Aに声を掛けるついでに顔を覗くが意外と大丈夫で安堵した。

タ「葉山…。」
葉「これからゼミでAの嗅覚訓練と試作があるから帰らせてもらうぞ。」
『今日は何作るの？』
タ「!!」
葉「(あー…これは…。)この間潤が組み合わせたスパイスを使ってみるかな。」

タクミは自身より葉山に対してレスポンスが早い事に自分はまだそこまで好感を持たれていないのだと知り軽く衝撃を受けるが、ここで引いては駄目だと思い聊か強引に申し出る事にした。

タ「嗅覚訓練と試作を見学したいんだが、同行しても良いか？」
葉「俺は構わないけど…、A。」
『……うん。』

Aも了承した事でタクミはイサミを呼び、共に汐見ゼミに同行した。