un cuoco curioso① (ページ3)

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【中等部】02 ページ3

秋は冬を迎えあっと言う間に季節は過ぎて春になり、Aは遠月学園の入学式を迎えた。
創真の中学とは入学式の日取りが違う為に普段見る事のないスーツを着た城一郎と共に遠月の門を潜る。

門を潜ってすぐの所に１年生のクラス割が掲示されており、Aは自分のクラスを探す。
城一郎は保護者席で待つと言い、Aは掲示された教室に向かう。

教室の机には各生徒の名前が記載された紙製のプレートが置いてあった為、指定された座席に座り持って来ていた植物関係の本を取り出し教師が来るまで待つ事にした。

本のキリが良い所でAは顔を上げると教室に入った時より人が増え、各々交流をしたりAと同じく本を読んでいたりしている。
丁度時間なのか案内役の教師が入学式に向かう指示を出し、生徒達は出席番号順に並べられ講堂に向かった。

入学性代表、来賓紹介、総帥の挨拶等の長い時間を費やし漸く終わった入学式にAは溜息をつく。
何故入卒式はこんなに長いのか、と思いながら先程の教室に戻って来た。
担任である教師から教科書の配布や料理学校らしい構内の調理室を含めた施設の使用の注意等を説明された後は解散となった。

『(やっと終わった…。父さんと合流しよう。)』

そうAが鞄から遠月に通う為家を出るAに与えられた真新しいスマホを取り出すと既に城一郎から地図を取った写真と共にメッセージが入っていた。

"知り合いに挨拶してくるから先に汐見ゼミに向かってくれ"

雑な連絡にAは少々腹が立つが、とりあえず写真を見ながら汐見ゼミを目指そうと今朝より重くなった鞄を持つ。

昇降口を出てAは帰宅する生徒とは別の道に進む。
一応道は整備されているが街灯がないこの道を夜に歩きたくないなと思いつつ写真の地図頼りに歩くとプレハブ校舎の様な建物が見えてきた。

『…ボロい。』

一言目に耐震設計大丈夫？と聞きたくなるくらいにボロい建物の前に立ち尽くす。
Aは間違えたかと思っていると、別の道から先程雑な指示をした城一郎が姿を現した。

『父さん！』
城「お！よく此処に着けたなA～。」
『よく着いた、じゃないんだけど。雑過ぎ。』

悪い悪いと悪びれる事なくAの頭を撫でた後、目の前にある建物に入っていく。
一応ここが汐見ゼミらしく、Aも城一郎の後に続き建物の中に入る。

城「えーっと、確か…ここだな！」

ノックもせず勢い良く城一郎は扉を開けると小柄な女性と制服を着た男子がいた。