un cuoco curioso① (ページ19)

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【中等部】18 ページ19

『…受ける気無いけど。』
葉「分かってるよ、万が一受けた時だ。どうする？」
『………退学。』
新「退学だと…!?ふざけるな!」
葉「それだけAに嫌悪されてるって事だろ、分かれよ。」

Aから出たのは【新戸の退学】であり、接触禁止以上に重い条件を突き付けられた新戸は憤慨する。
しかし葉山は自分達がAからどれ程悪印象を持たれているか知らない様を見て指摘すると新戸は何も言えず口を閉ざす事となる。

Aは黙る新戸やえりなを見る事無く申請した調理室に向かった。
一瞥される事も無くその場に取り残されたえりなと新戸はAの背を見つつ項垂れる。

新「…申し訳ありません、えりな様。」
え「いえ、貴女は悪くないわ…。でも食戟を受けてくれないなら……どうすれば。」

Aは食戟を受ける理由がない上にこれ以上追いかけても今日と同じ様に邪見される。
もうこれ以上術がないえりなは暫く失意に落ちる。

申請した時間をわずかに超しAと葉山は調理室で試作を行っていた。
先の接触もありAは少々イラつきを見せていたが葉山への態度はいつも通りだった。

『じゃあ始めようか。』

今日葉山が教えて貰ってるのはモンテ・オ・ブールとクアトロ・フォルマッジの配合である。
Aは説明しながらいとも簡単にモンテ・オ・ブールでソースを仕上げるが葉山は何度も失敗を繰り返し、奇跡的に1度だけ成功できた。

葉「はーっ、ようやく成功した…。」
『お疲れ。時間無いしクアトロ・フォルマッジの配合率やろうか。』
葉「あぁ。」

出来ればもう1回試したいが、ゼミの調理場の点検が終わったらやってみようと思い葉山はAの説明を聞く。

配合率については分かったが試作する時間が無い為Aと葉山は器具を片付け帰宅の準備を進める。
申請時間前に調理室を出て制服に着替えた後各々帰宅に着いた。

極星寮に着いたAは特に誰かと会う事も無く、入浴した後は自室の調理場で夕飯を作り一人で食す。
包丁を研ぎ、寝支度が整ったAはノートを取り出し創作料理のレシピを考える。

ゆきひらで出す品以外の料理を様々な国の調理法に置き換えるのがAの主な創作であり、それを試作するために調理技術も学んだ。

会得した技術を葉山に教えられるAは、自分の為にもなるし一石二鳥だなと思っていた。