un cuoco curioso① (ページ13)

今日:17 hit、昨日:74 hit、合計:27,228 hit

【中等部】12 ページ13

明日の調理実習に間に合って良かったと話しつつAと葉山は昼食を済ませ教室に戻る。
教室内は各々グループが出来ていたがA達は特にそれに加わる事無く過ごしている。

初日以降、Aや葉山目当てで声を掛ける生徒は居たが面倒事は避けたい為に素っ気ない上に人見知りのAが絡まれれば引き離す葉山の行動に生徒達はそっとしておこうと必要以上に声を掛ける事を止めた。

かと言ってそれはイジメに発展する訳でも無くなんとなく見守ろうと言うのがこのクラスに出来たルールであり、特にAに関しては他クラスの奴から守ってやらねば葉山が大変だと一致団結していた。

それを知る由もない当人達はスパイスの話をしていた。

既に知っている内容を座学で受けつつ、Aは今日の授業を全て受けた後ゼミに向かった。
勿論葉山もAと一緒にゼミに向かう為、急ぐAを引き留めつつ帰宅の準備を進める。

葉「嬉しいのは分かるけど、もうちょい落ち着け。」
『……だって。』
葉「分かってるって。」

教室内の為に口数が減るAに対し葉山はAが言いたい事を察した。
自分も料理人としてコックコートを贈られた時は嬉しかった。

葉「楽しみなのは分かるけど、逃げる物じゃねぇだろ。」
『………うん。』

諭されて落ち着いたAは葉山の準備を待つ。
葉山も早く色違いの揃いのコックコートを見たいのかいつもより雑に教科書類を放り込み待っているAと共にゼミに向かう。

ゼミに着いて直ぐに汐見がいる部屋に向かい扉を開ける。

汐「あ！Aちゃん、葉山君おかえりー！」
葉「ただいま。」
『ただいま、潤さん。』
汐「んふふ～！Aちゃんのコックコート届いたから試着しようか！」

さ、葉山君は出っててねと言われた葉山は早々に部屋から追い出され、Aの試着が終わるのを廊下で待つ。

汐「サイズは丁度いいね。着心地はどう？」
『…うん、大丈夫です。』
汐「良かったー！あ、葉山くーん！入って良いよー。」

コックコートに着替えたAにサイズ感を確認した後、早々に追い出した葉山を呼ぶと案の定待っていたのか直ぐに扉が開いた。

葉「お、やっぱ白似合うな。」
『そう？』
汐「葉山君と色が真逆だからね。並んだら綺麗な対比だよ！」
葉「そういえばクラスの奴が真逆の双子みたいって言ってたな。」
汐「え！？何それ良いね！！」

そんな話いつ聞いたのか不思議に思いつつAは葉山を見遣る。