un cuoco curioso① (ページ12)

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【中等部】11 ページ12

汐見に言われるがまま制服に着替えた後Aは股下やウエストを測られた。
流石に測る部位が際どいので葉山は強制的に退出を言い渡されていた。

汐「Aちゃんちょっと細すぎない？ちゃんとご飯食べてる？」
『1日3食ちゃんと食べてますよ。』

汐見は細いと言うが、筋肉が付いてないと言うわけでなく逆に綺麗な筋肉の付き方をしておりバランスは良かった。
まだ成長途中というのも有り、これから背も伸びて肉付きも良くなるだろうと思いつつ採寸を終える。

汐「やっぱり丈を詰めるより交換しちゃった方が良いかもね。」
『…そうですか。』
汐「交換は私がやっておくから、Aちゃんは葉山君のスパイス講習受けてきて大丈夫だよ～。」
『ありがとうございます、…"潤さん"。』

素早く扉を潜り葉山の元に向かったAの最後の一言に汐見はピタリと行動を止めた。
城一郎から聞いていたが、Aが名前で呼ぶ事は殆ど無い。
名前で呼んだら、Aにとって信頼できる人って事だと入学式後にゼミを訪れた城一郎は言っていた。

今初めてAが名前で呼んでくれた事に嬉しさが募りニヤけた顔で、Aが来てくれるコックコートの交換準備をする。

＊

『("潤さん"って呼んで良かったのかな…)』

先程自ら汐見を"潤さん"と呼んだのにも関わらず、Aは嫌では無いか馴れ馴れしいかと考えつつスパイスや調理台がある部屋まで辿り着くき葉山と合流する。

葉「あ、A。もう終わったのか。」
『…うん。』
葉「………？何かあったのか？」
『さっき、潤さんって呼んでみた。』

此処に来るまでの思いを葉山に話せば、潤は嬉しいと思うと返された。

『……そうかなぁ。』
葉「潤もAの事気に入ってるからあんま気にすんな。で、結局コックコートはどうなった？」
『サイズ交換だって。詰めるよりそっちの方が早いし、採寸したからオーダーも掛けられるって。』

オーダーを入れた場合は早くて4日で着く為、1週間後の料理実習には間に合うとの事。
実習がある日までは栄養学や衛生管理の基礎を初め座学が続き退屈だが、Aも葉山も揃いのコックコートで調理実習を受ける事を心待ちにしていた。

予定が遅れ交換から5日後にAのサイズに合ったコックコートが届いた事と放課後に試着してみようと、葉山と共に昼食を摂っていたAに連絡が入る。

『潤さんがコックコート届いたって。放課後に試着してみようって。』
葉「やっと来たか。」