un cuoco curioso① (ページ2)

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【中等部】01 ページ2

Aは料理界の頂点である薙切家で双子として産まれ、父が姉に施す洗脳教育を受ける事も無く厳しくはあるが父から料理の基礎を教わるAにとって何不自由ない生活を送っていた。
しかし、祖父は姉に施す教育を否定し父を追い出した。
同時にAも何も聞かれる事も無く突如薙切家の序列から外され、薙切家が運営する遠月学園の元生徒の所に養子に出せれたがこの時がAにとって人生のターニングポイントであった。
父である薊も懇切丁寧に料理の基礎を教えてくれたし褒めてくれた、代わって義父の城一郎は独創性が高い上に自身が現地で知った料理法や調理法を教えてくれたし褒めてくれる。

義兄である創真も元々一人っ子の為、突然義妹と言われても距離を置く事も無くむしろ妹が出来た事を喜び可愛がっていた。

その環境はAが父以外の薙切家にいた頃の記憶を消すのに好都合の環境であり、Aも無意識の内に祖父も母も姉も従妹も叔父も薙切家の事を思い出せない程忘れていき、優しい義父と甲斐甲斐しく世話を焼く兄の背を見ながら成長していった。

＊

小学6年生になった秋にAは義父から中学は遠月と言う料理学校に行ってみないかと言われた。

『なんで料理学校？父さんが色々な国の料理教えてくれるし別に行かなくても…。』
城「父さんは若い時に世界中を渡ったから教えられるんだ。でもAは？俺からしたら一度は創真以外の同年代の子達の競うのも良いと思うけどなー。」
『……父さんは私に遠月に通って欲しいのは分かった。』
城「俺が行ってた時とは変わってるだろうし、嫌だと思ったら辞めても良い。でも此処から遠月に通うのは無理だから俺がいた寮で暮らすが大丈夫か？」
『…父さんがそこまで言うなら、出来るだけ頑張るよ。』
城「そうか。なら遠月(むこう)に連絡しておくな。」

城一郎は腰を上げ、学園に連絡する為部屋を出て行ったが入れ違いで何の話か気になってた創真が顔を出した。

創「話ってなんだったんだ？」
『中学から料理学校に通わなかって。』

創真に今の話の経緯を伝えると今更なんで？と顔をされるが、Aが行くって決めたらなら良いと返って来た。

創「なんも無くても連絡する事！悩んだりしたら絶対！後はー、連休は絶対帰って来ること！」
『うん。』

少々過保護な義兄と約束をし、せめて中等部は卒業しようとAは思った。