un cuoco curioso⑭ (ページ44)

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【高等部2年】639 ページ44

『挑発…ぽくはないね。創真も作る品が決まったみたい。』
仙「あの顔は…えりなは今、嵐に飲まれかけているのだろう。」
薊「えりな…。」
『…お母さんと同じ道を辿ろうとしてる。』
仙「心配するでないA。えりなが先代や真凪同様の道を歩まぬように、真凪にえりな自身が料理への希望であるを伝えるべく仕組んだのだ。」
薊「娘や孫への愛…ですかね。」
仙「単なる親馬鹿だ。それに儂がやったことは所詮下準備まで。すべては彼ら…若き料理人たちの、今日までのぶつかり合いにかかっている。」
葉「…研鑽か。俺はともかくAはあんまり食戟してねぇからなぁ。」
『だってヤダ。その結果が出れば良いけど…今のえりなの顔を見れば無理だね。』

新たな皿を創り出す希望がえりなであると真凪に知らしめる為でもあるという仙左衛門だが、Aは忙しく動く創真と先と変わって調理の手を止めたえりなが映るモニターを見る。

葉「さっきの幸平の様子からするとまたなんかやってくれるだろ。」
『それは分かるけど…これ一応BLUEの決勝なんだよね。』
葉「それこそいつもの事だろ…。」
薊「彼の発想力と技術は知っているが…地球上に無い皿を作れるかどうか。」
『お母さんだったら…例えば調理法の置き換えとか調理法の掛け合わせで作った品だとしても納得しなさそう…。』

Aがよくやる調理でも真凪からすれば既に存在する品と見ると思い難しい顔をしながらA達はモニターの向こうで料理する創真を眺める。

葉「あれは…丼？」
『さっきのポーチドエッグを天ぷらに、ソースはオランデーズソースかな？』
葉「かなり和食からは離れてるな…。」
『あ、やっぱえりなにも渡した。』
葉「………美味そうな反応してるが、真凪さんの方はどうだろう。」
『？なんか立ち上がってる…あ、がっついた。』
葉「おいおい、お嬢様ががっつくなって…。」

創真が真凪を指した後えりなは丼を持ち掻き込む様に食べる様子に薊と仙左衛門は意外そうな顔をしていたが不意に軋む音と小さな揺れに驚く。

『地震？』
葉「……!!?おい、城の壁が！」
『え…？ちょっとこれはヤバいんじゃない？』
薊「おさずけパルスがこの城郭に…建物にまで作用したというのか!?そんな現象薙切の長い歴史でも例がない!!」
『ていうか建物壊しちゃったけど…。』
薊「他か…考えられる理由はえりなの料理人としてのパワーが磨かれたことで彼女の持つパルスまでもが…増強した…!?」
仙「…えりな……!!」