un cuoco curioso⑭ (ページ43)

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【高等部2年】638 ページ43

仙「うむ、君のその嗅覚はえりなの研鑽にも影響するだろうとな。すまなかったな、儂の勝手な理由である。」
葉「いえ、仙左衛門殿のお陰でAにも会えました。Aとえりなからは碌な理由じゃないと言われてましたが俺にとっては有難い事です、是非今度お礼をさせて下さい。」
仙「(巻き込むなと言われると思っておったが…)無論喜んで受けよう。」

自身の勝手な計画に引き取られたばかりの葉山を将来えりなの研鑽の為にと巻き込んだ葉山に対し仙左衛門は予想だにしない対応に僅かに驚くがその心意気を受け取る。
誰もいない会場に創真とえりなが入場する様子をモニターが映すと試合が始まるのかモニターを注視すると御簾越しに真凪が映る。

真《決勝の審査員は私じゃ。お題は……【地球上に無かった一皿】。》
『やっぱりね…。』
葉「真凪さんが求めてる物だしな…。」
真《心してかかれい、調理―開始!!》
『えりなが真っ先に調理に入った。』
葉「？…なんか、様子が可笑しくないか？」
『うん、焦ってる…？なんか追い詰められてるみたい…。』

真凪の言葉で決勝戦が始まるとえりなが調理に入るがモニターでも分かる程に追い詰められた様子に何かあったのか気になるAと葉山だったが今は見ている事しか出来ない。

薊「…僕の【真の美食】計画は駄目だった。成功しそうですかな？…そちらは。」
仙「まだ分からぬ、だが確実に…この勝負で一つ明らかになろう。儂が秘密裏に描いた【玉の世代】計画の成果が―…!!」
『…玉の世代、一人二人巻き込んだって話じゃないでしょ。』
仙「うむ…葉山アキラ、アルディーニ兄弟、黒木場リョウ、貞塚ナオ、美作昴、水戸郁魅、伊武崎峻、吉野裕姫、田所恵、北条美代子、そして幸平創真とA…この者達に中等部への入学・編入を持ち掛けたのだ。」
葉「知ってる顔ぶればかり…。」
『結構いた……まぁ、最初嫌々入学したけどアキラと会えたし良いや。』
薊「しかし何故幸平創真は高等部からの編入だったのですか？」
仙「それは城一郎から中学までは自身で教えると言うておうて高等部からの編入になったのだ。」

中等部の頃、Aは帰省する度に創真から城一郎からの無茶振りの話を聞いていたが今、仙左衛門の話を聞いてその理由に納得したがモニターでは創真がえりなの調理途中のソースをスプーンで掬っていた。

『…は？創真何してるの？』
葉「勝手にソース食ってんなよ…何か言ってんな。」

(国籍の理由を知る葉山。)