un cuoco curioso⑭ (ページ38)

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【高等部2年】633 ページ38

『!?…噛み締めた瞬間？』
葉「…口にするまで匂いが薄かったってことか？」
『たしか…最後に卵を米に絡めてから炒ってたよね？』
葉「あぁ…だけどそれはチャーハンだからだろ？」
『噛み締めた瞬間って言ってるし…閉じ込めたんじゃないかな。』
真《初見では知覚できぬほど薄い卵のベール…それはさながら極小のオムライス!!!》
葉「マジかよ…。」
『しかも油無しでだから重くない。いくらでも食べれるし味も香りも良い品って事だね。』
葉「いや！平然に言ってるが…失敗したらどうする気だったんだよこいつ!!」
『アキラはいい加減創真の博打に慣れた方が良いよ？』
葉「無理に決まってるだろ…。」
『ねぇ、今度は布の切れ端が舞ってるけど。』
葉「切れ端？服じゃなくてか？」

真凪が創真の品を食べた事で中継には千切れた布が舞っており朝陽の時とは違うが真凪におさずけを出させたと分かる。

『…あ、そうだ。これっておはじけじゃない？』
葉「おはじけ？」
『うん、ほらアリスの…叔父さんが第三試験の時に出してたやつ。』
葉「あぁ、あれか。なら今真凪さんはおさずけとおはじけを同時に出したって事か！」
『おさずけだけ出させた才波朝陽とおはじけも出させた創真…どっちが美味しかったかは決まったね。』
葉「幸平の勝利だ…ふぅ、見てて疲れる。でもなんで幸平はチャーハンを選んだんだろうな。」
『…チャーハンは、創真が母さんに初めて教えて貰った料理なんだ。』

なぜチャーハンを選んだのか疑問を口にした葉山にAが初めて母さんと言った事で葉山はずっと聞けずにいた創真の母親を訪ねた。

葉「母さんって…写真は見せてもらったけど、どんな人なんだ？」
『…失敗を恐れずそれでいてよく笑う人。料理は下手だったけど楽しそうに料理してた。』
葉「してた？今はどうしてんだ？」
『……５年前に…亡くなった、病気で。』
葉「…わりぃ。」

創真が勝ったと確信した時とは異なり俯くAに葉山は聞かない方が良かったと思い謝罪を口にすると、Aは首を振った。

『…母さん、失敗は成功の母だって創真に言ってたし…創真が失敗を恐れないのは母さんの言葉があったから普通じゃ無理な事だってやるんだよ。』
葉「失敗は成功の母…か。幸平って城一郎さんに似てると思ったけど、意外と母親似なのか？」
『うん、笑い方がそっくり。』