un cuoco curioso⑭ (ページ36)

今日:12 hit、昨日:23 hit、合計:5,644 hit

【高等部2年】631 ページ36

まさか自分も入っているのかと心外だと言う顔をするAだったが葉山はすぐに首を振って指定した。

葉「A達は入ってねぇよ、仙左衛門殿と義父さんと真凪さんがメインだな。」
『良かった…。』
真《五大料理すべてを一つの品へと集約させ最高の美食を生み出してみよ、それがお題じゃ!!》
『…今なんて言った？』
葉「…五大料理を一つの皿にって言ったぞ？」
『嘘でしょ…。』

真凪が出したお題にな甘えは聞き間違えかと思ったが葉山が復唱した事で無茶苦茶すぎるお題に何故か頭の痛い思いだった。

『なんてお題出してるの…はぁ…。』
葉「予想外な方向にぶっ飛んだお題だな…あ、もう調理に入ったぞ。」
『もう？創真は‥‥考え中。』
葉「流石の幸平でもいきなりは作れねぇだろ…にしても五大料理を一つにか。」
『どれか一品でも主張が強すぎれば嚙み合わないし、調理も同時進行で捌かなきゃいけないからかなりキツイね。』

工程ごとに城一郎の包丁と他の道具をクロスさせながら調理を進める朝陽は背後に元の持ち主である料理人が映っていると錯覚してしまうほどに爽やかな顔になるとAと葉山は一瞬身体を固めた。

葉「今何か…見えた気がするんだが？」
『うん、なんかいたね？。』
葉「気にはなるけど一瞬忘れとこう。」

気を持ち直しAと葉山は忙しなく一切気を抜く事さえ許されない調理を緊張した面持ちで観戦する。

葉「…先に出来上がったのは才波朝陽か。」
『創真はもう少し掛かるけど…時間が微妙だね。』
葉「マジで頼むぞ幸平…。」

先に朝陽が仕上がった事で更に緊張感が募り焦りさえも覚えるが、創真が時間ギリギリでクロッシュを被せた皿を置くとAと葉山は安心したと大きくため息をついた。

『はぁー…ギリギリで間に合った。』
葉「本っ当に大一番って時に限って毎回ハラハラさせやがって…後は審査のみだな。」
『執行官が入って来た…シャルムさんだ、それにデコラさんとクラージュさんも…。』
葉「今回の審査員か、知った顔で安心するけど…。」
『あ、デコラさんとクラージュさんが早速声掛けてる。』
葉「駄目だ、肩入れしてるぞ…。」
『まぁ…あの時も審査は公平だったし大丈夫じゃない？』
葉「だと良いけどな。…座った瞬間執行官が才波朝陽の品に顔を向けたな。」
『クロッシュをしてても香ってるんだ…才波朝陽の品はバスティー…。』

テレビ右下の小さいライブ映像に映るバスティーにAは味の創造が出来ないと言う。