un cuoco curioso⑭ (ページ30)

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【高等部2年】625 ページ30

『まさか拉致られるとは思ってなかったよ。…タクミが勝ったから次は田所だね。』
葉「トーナメント表は…田所とえりなは明日からだな。」
『じゃあ中継はもう良いや。明日は朝から資料作らないと…。』
葉「今日は早めに寝るか。明日は何時起きだ？」
『５時。』
葉「はや…アラームセットしとくな。」

ゼミ活動で使う資料作りを明日に回した事でいつもより早く起きる事になりAと葉山は早めに就寝し翌朝資料を片付けてからBLUEのトーナメントを見るための用意をする。

『今日はスペキュロスにしてみた。』
葉「良い香りだな、たしかベルギーの菓子だったか。(ｻｸｯ)」
『食べるの早いよ…今日は誰から？』
葉「今日の中継はえりなの所……なんだこのトーナメント表!?」
『何これ、逆シードじゃん。しかも名前見る限りノワールばっか。』
葉「大丈夫かよ…つうか昨日のトーナメント表と変わってるよな？」
『お母さんがWGOのトップなら書き換えることも出来るでしょ。昨日ノワールにしか期待してないって言ってたし…。』
葉「えりなを落とそうってことか？才波朝陽はともかく他のノワール如きで落ちる訳無いだろ。」
『…なんか、私にもえりなにも用は無いって言ってるみたいでムカつく。』

えりなのトーナメント表を変えたのは十中八九WGOのトップである真凪しかいないと考えるとその意図に腹立たしさを覚えたAの顔は険しかった。

葉「流石にあからさま過ぎる…試合始まるな。」
『うっわ…表を見るより酷いね、何人いるの？』
葉「１０人以上はいるが、こんなので試合になるのか？」
『前に私がやったように執行官を気絶させちゃえばいいと思うよ。』
葉「いや、普通は気絶するほどの品は作れねぇけど…Aが出来るならえりなも出来るか。」
『ついでにお母さんも腹いせで気絶させてくれないかな…。』
葉「やめとけ…しかしすげぇ調理光景だな。」
『荒々しい…お嬢様らしい優雅さの欠片もないね？』
葉「あいつ言うほど優雅じゃねぇだろ。」

いつものえりなと比べると連隊食戟時の調理光景に近いえりなの様子に軽口を言いながらも内心はハラハラして中継を見るが、えりなは次から次へなぎ倒す様に勝ち進めていく。

『これで一旦は終わりだね。』
葉「見てるこっちが疲れる試合だな…。」
『去年私が零席を賭けた試合と同じ様なものでしょ？』
葉「そうだけど…あの時は義父さんとAに無駄なこと言う生徒に腹立つなって言いながら見てたからな。」

(そんな事もあったね？)