un cuoco curioso⑭ (ページ13)

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【高等部2年】608 ページ13

『アキラ、えりなからの呼び出し。』
葉「今からか？随分急だな…いや、薙切のスケジュールが空く方が珍しいか。」
『後５分位で迎え来るって。とりあえず焼きたてちょっと持ってきたよ。』
葉「おっ、今日は柑橘系…ブラッドオレンジか。僅かに馬告も使ってるな……うまっ。」
『(ﾓｸﾞｯ)ん～…もうちょっと砂糖入れても良かったかな。』
葉「俺はこれくらいが良い、つーか出る準備しねぇとな。」
『外暑いから着替えたい。』
葉「良いだろ着物で。」

夏の暑い屋外を着物で出たくないというAだったが葉山がそれを許さず半ば抱える様にAを連れてゼミを出ると迎えに来た車に乗りえりなの元を目指す。

『あっつ…えりな、来たよ。』
え「あ、A…来てくれてありがとう。」
葉「俺も来ちまったけど大丈夫か？」
え「大丈夫よ。飲み物を用意したから座ってちょうだい。」

クーラーが聞いた執務室でえりなに出迎えられるとAと葉山はえりなと対面する様にソファに腰を掛け用意されたアイスティーを手に取る。

『で、話って何？才波朝陽の事？』
え「いいえ…お母様の事よ。」
『…なんでお母さんが出てくるの？』
葉「たしか薙切家を出てからどこに行ったのか分からないって話だったが？」
え「そうよ、ずっと音沙汰もなかったけど…先日WGOのアンさんが私にBLUEのノミネートを伝えに来た時にお母様がWGOにいると聞いたわ。」
『へぇ…生きてたんだ。ていうか味に絶望して消えたのにWGOなんてね。』
え「私も驚いたわ。それで……Aはお母様に会いたい？」

Aが養子に出される前に薙切家を出た真凪がWGOにいると知ったAは複雑な顔をするえりなに会いたいか問われ眉根を寄せる。

『正直会いたいとも思わない。』
葉「でも…やっと行方が分かったんだろ？１回くらい顔を合わしても良いんじゃないか？」
『…勝手にお父さんと私たちを捨てて、生きてるのに連絡をしなかったのに？気にする事も会う気も無かったって事でしょ。』
え「Aは…そうよね、お母様との思い出も忘れているし、そう思っても仕方が無いわ。」
『だから会う気は無いから連れて来ないでね。』
葉「まぁ…Aからしたら捨てられたも同然だからな…。」
え「大丈夫、Aが会いたくないと言うなら無理に会わせないわ。けどBLUEにノミネートされているんでしょう？」
『出ないよ？この間、試験明けにゼミに帰ったらアキラもノミネートされてたけど辞退したよ。』

(割り捨てるA)