5話 ページ6
川尻蓮side
沢山の練習生がパフォーマンスしては、厳しい評価で涙を流しているクラス分け評価。俺はありがたい事にA評価を貰えたけど、仲間はそうは行かなくてさっき俺も苦しい思いをした。
そんな俺がPR動画から気になっていた女子練習生、大宮Aさん。PR動画のうちからダンスも歌も上手でビジュアルも良くて、尊敬する練習生だ。さっき席に座る前の姿は、動画の中よりも身長も高くてスタイルが良くて顔だってもちろん美人で、なんだかもう芸能人のオーラがあるように見えたから、よりいっそう尊敬の念が湧く。
「あ、大宮Aさんだ。」
でてきた彼女はやっぱり綺麗で、なんだかドキドキしてしまう。愛想良く微笑みながら会話を続ける姿は、冷たく見える程の整った顔を和らげていて、会話だけでも自分の魅せ方を知っていることが分かる。
「やっぱりカッコいいな。」
ステージの上で構えているのを見るだけでもかっこいいのが分かる。そして何より、低いヒールですら踊るのが難しいのをダンサー仲間を見て知っているから、未だにあの高いピンヒールで踊るというのがいまだに信じられない。
が、音楽が鳴った瞬間から俺の視線は、ステージに、宮城さんに囚われて離れなかった。
俺の想像を遥かに超えるパフォーマンスだった。
高揚感に自然と口角が上がる。足先から指先まで、さらには髪さえも操って色気のあるセクシーなパフォーマンスを成り立たせている彼女に俺は再び尊敬した。
彼女と一緒に踊りたいと思わずにはいられなかった。
曲が終わったあとも練習生は盛り上がったままだったし、WARNER先生に頼まれたフリーダンスも、菅井先生に頼まれたアカペラもクオリティが高くてまた盛り上がった。
「評価A…大宮A。」
『ありがとうございます。』
あぁ、早く一緒に踊りたいな。
ありがたいことに、私が頂けた評価はAだった。
「満場一致のAでした。」
「未経験がゆえの荒削りな部分はあったけれど、それでもトレーニングすればリードが張れるポテンシャルはあるとおもいます。」
「あなた、トレーニングしたら歌もダンスももっともっと伸びると思うわ、今のあなたを見て限界が全く見えなかったから、限界見えるまで頑張ってください。」
『ありがとうございます。評価に恥じないようにもっと努力していきます。』
『いや〜、嬉しかったですね。もちろん目標はAだったけど頂けるとは思っていなかったので、Aでいられるよう、頑張りたいです。』
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作者名：おおはら | 作成日時：2021年10月7日 14時
