17話 ページ19
2日目の朝になって、私はなぜかBクラスにいた。
『ごめん…、なんで私ここにいるの？』
ほんらいであればAクラスにいて練習してるはずなのに、Bクラスで女子練習生に囲まれているこの不思議な状況に思わず疑問の声が漏れる。
「私たちにダンス教えて欲しいの！ミヤお姉ちゃんのダンスはなんか華がある感じでかっこいいから！」
『なるほどねさちちゃん…いいよ！一緒に練習しようか。』
今日は夕方に一回A-NON先生がAクラスに見に来てくれるだけだったから午前中はAクラスは自主練だった。教えることで私もよりこの振りの解釈が深まっていいものができる気がして、ノリノリで教え出した。
「ごめん。俺たちも一緒に教えてもらってもいいかな？」
『あっ、はい。…えーっと、シックスパックスのかたですよね？』
「うん。俺が與那城奨。こっちが安藤誠明でこっちが河野純喜。」
「俺らほんまに初心者やから、全然ダンスができひんくて俺らほんまに初心者やから全然ダンスができへんくて、このままじゃDとかFに落ちてまうんで教えて欲しいんすよ。お願いします〜ミヤさん！」
『もちろん！他の人たちも聞いてくれていいからね。12時の昼食時間まではこのクラスいるから。』
すると続々と人が集まってきて、私といえば教えては見て教えては見てずっとそれの繰り返しだった。気づけばもう11時も終わり間近で、お昼休憩に入る所だった。
「ミヤお姉ちゃん！ありがとう！なんか今日の午前だけでダンスだいぶ上達した気がする！」
『そ？ならよかった。私も教えたことでよりダンスの魅せ方的なものがわかった気がしてる。誘ってくれてありがとうさちちゃん。』
それから昼をささっと食べてみんなより一足早く練習室に戻ると、そこにはSIONがいた。
『あ、ごめん。ここ使ってるよね？他のとこ行くね。』
「いや大丈夫っす。てか、大宮さんAですよね、見てくれません？」
『えっ？…全然いいけど…。』
こっちが困惑してるうちに、音楽をかけて踊り出すSIONくん。鋭い目つきと強い覚悟の様なものが見えて、本名も知らない彼に私は目を奪われた。…絶対この子Cじゃない、午前中見てたBにも、もしかしたらAにだってここまで熱量ある踊り方する子がいないかもしれない。この子は上がってくるとどこかで確信めいたものを持った。
『いいと思うよ。熱意がガンガンに伝わった。』
「…ありがとうございます。」
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作者名：おおはら | 作成日時：2021年10月7日 14時
