7話 ページ9
着替えたあと体育館のようなところに集められた私たちの前に、ナイナイの二人とA−NON先生とWARNER先生が登場した。私たちの出演する日プのテーマ曲を発表するらしい。
テーマ曲は《ツカメ〜It's Coming〜》
デビューしたい夢を掴み取りたいという思いが込められた曲だから、思いが込めやすそうで気持ちはすぐに入っていけるように思えた。
「大宮さんですよね？」
『うん。どうかしたの？來良くん。』
「あの、実は俺初心者でダンスが苦手だから、教えて欲しいんです。」
『もちろんいいよ。教えるからこっちきて一緒にやろうよ。』
私が振りを教えては子供のように真似る來良くんが可愛くて可愛くて仕方がない。特に來良くんが赤ちゃんライオンに似た愛らしさを持っているからより可愛く見える。上手に踊れた時なんか小さい子を褒めるみたいに頭を撫で繰り回したくなってしまう。
「あの〜、俺も一緒にいいですか？」
声をかけてくれたのは來良くんと同じグループだった川西くん。めちゃくちゃハンサムだけどこの子も可愛いんだよな。この子も初心者って聞いていたし、なかなか難しいこのダンスを覚えるのは大変なんだろう。
『川西くんだよね？いいよ一緒にやろっか。』
「ありがとうございます。よろしくなぁ來良。」
「うん。いっしょにやろ！」
二人が苦戦しているところは説明しながら踊ってあげて、だいぶ振りが入ってころに、じゃあとりあえず一度踊ってみようか、と先生から声がかかった。
「うわぁ、どうしよ、緊張する…。」
『川西くんなら大丈夫だよ。頑張って。』
クラスの違う川西くんと別れ、Fクラスから順番に見ていく。どのクラスもあ数は踊れていないのを見て、やっぱりこの曲は難しいんだと実感した。そして、ダンス未経験者であったはずの川西くんがあそこまで踊れているのはセンスがあるんだと思った。
Aクラスの番がきて、他のクラスから聞こえてくるAだから踊れるかも、の言葉に背筋が伸びる感覚がして気が引き締まる。音楽が流れ出して、短時間とはいえ体に覚えさせた振りを確かめるように踊っていった。
斜め前にいる蓮くんは、やっぱり一つ一つの動きが綺麗で、見たときに目を惹くかっこ良さとしなやかさを醸し出していた。
『川尻くん、やっぱりかっこいいね。』
「えっ、そう？ありがとう。ていうかなんで後ろにいたのー、大宮さんの見たかったなぁ。」
キリッとした一見怖くも見える川尻くんの顔がヘニョっと拗ねた顔に変わって、なんだか申し訳なくなる。
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作者名：おおはら | 作成日時：2021年10月7日 14時
