恋風乱舞【ars M.A】 (ページ22)

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22.オン・シ。ページ22

「痛いー...男子のここは蹴っちゃダメ！先生のくせに何してくれてんの！？」

俺がその場にしゃがんでニノちゃんを見上げると「部外者撃退！」って、笑われた。

「だから俺、部外者じゃないってば」
「単なる卒業生だろうが」
「違いますぅ！関係者ですぅ！だって俺は在校生のカ・レ・シ！」
「...お前、相変わらずちょっとアレだな」
「こらっ！アレって何なの！」

体育祭だからかTシャツとスウェットパンツにパーカーを羽織って、まるで休日のお父さんみたいなニノちゃんが俺の隣にしゃがむ。

でも、しゃがんだと同時にポケットから出された手は萌え袖になってて、お父さんから一気に高校生みたいになった。

「ねぇ、ニノちゃんって何歳になったの？」
「オレ？32。何、誕生日プレゼントでもくれんの？」
「ニノちゃんの周りって、もしかして時空歪んでる？」
「フハッ！何だそれ」

首を動かしてポキポキ鳴らしながらニノちゃんが笑った。

「相葉、最近どうなのよ」
「んー、楽しいかな。ちゃんと学校行ってるよ」
「お！成長してんじゃん。ちゃんと続けろよ？」
「続けるよー。俺は一人前の美容師さんになんのー」
「カリスマ美容師？」
「何か古い、それ」

うっせ、って肩を押されて尻餅つく。

面倒だからそのままそこに体育座りした。

目の前では何かダンス始まってる。

でもそれよりも、赤団の中に居るAちゃんが気になってジーっと目で追っちゃう。

「相葉、お前視線がストーカーみたいだけど大丈夫？」
「えっ！？」
「そもそも、出で立ちが怪しいんだって。何でキャップに眼鏡までしてんの。変装か？」
「だって、Aちゃん見に来ないでって言ってたから...バレないように」
「正真正銘のストーカーじゃん！」

ウハハ！ってニノちゃんが、仰け反って笑い過ぎて尻餅ついた。

「うわっ！ケツ、いって！」
「自業自得ですー。人の純愛を笑うからですー」
「彼氏だったら、もっと堂々とすりゃ良いのに」

それだけ言うと、立ち上がって砂の付いたお尻をわざわざ俺の前でパンパンと払う。

「ゲホッゲホッ...ちょっとー！」
「あ、わりぃわりぃ」
「絶対悪いと思ってないくせに」
「ま、ゆっくり愛しの彼女でも眺めとけや」
「言われなくても」

フフンって笑ったら、ニノちゃんもクフって笑う。

遠くでハシャいだ女子生徒達が「二宮せんせーい！」って呼んでる。

「モテるね、センセ？」
「お陰様で」

ニノちゃんは俺に軽く手を挙げて、歩いてった。