空想カタルシス 2nd 【ars S.S】 (ページ29)

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64.週末とは。ページ29

「めでたい！めでたい！赤飯だ！」

まだ赤飯が半分は残ってる俺の取り皿に雅紀がモリモリと更に赤飯を盛る。

「翔ちゃん、頑張ってね。ほら、唐揚げ食べて精力つけて」

雅紀がテンコモリにした赤飯の上にニノが唐揚げをサクサクと刺していく。

「なぁ、聞きたいんだけどさ」

俺は小皿を挟んで向かい合ってる雅紀とニノに問う。

「何で土曜なの？日曜でも別に良くない？」

俺の言葉に二人は顔を見合わす。
そして、同時に二人とも俺を見る。

その動きが双子みたいで俺はプッと笑ってしまった。
全然似てないけど。
顔も体格も全然似てないけど。
似てるのは女好きってトコだけか。

「週末って土曜でしょ。百歩譲って金曜の夜。日曜は週末じゃねぇよ」

ニノが片眉上げて、常識だろ？と首を傾げる。

「何で」
「何でって翔ちゃん！ちょっと、相葉さん！教えてやりなさいよ！」

突然指名された雅紀は慌てて外してた眼鏡を掛け直して「ティーチャー相葉です」ってペコリと会釈して、んんっと咳払いをする。

「ハメを外せるかどうか、ってトコですね！」
「は？」
「次の日が休みだと、ちょっと大胆になっちゃう！的な」
「...なるかよ」

なるよねー！と、バカ二人は顔を見合わせてハイタッチしてる。

「ホント、お前らってそんな事ばっかり考えてんのな」
「オトコノコですからね」
「ラブだよ、ラブ！人類繁栄には必要でしょ？」

いやいや、お前らのそれは非生産的だろ。

「マジでお花畑だな、お前らの頭」
「ニノは菊みたいだよね！」
「菊？！やだよ、そんなお供えみたいな花。あれ、首からポロッと落ちるんだぜ？縁起悪いわ」

どーでも良いわ。

「和風だから似合うと思ったんだけどな…あ、じゃあタンポポ！」
「最後、綿んなって飛んでくの？」
「ニノ、ふわふわしてるし色白いしね！」
「もうそれ、タンポポってより綿毛の方に重点行ってんだろ」

どーでも良いわ。

「翔ちゃんは桜！」
「お前、それ、櫻井だからだろー！」

ブハッと吹き出すニノに、ヒャヒャヒャと笑う雅紀があまりにも平和で。

俺は自分にこれから起きる『久々のデート』って大仕事の事を忘れそうになった。