空想カタルシス 2nd 【ars S.S】 (ページ12)

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47.バカだけど。ページ12

さっきの、雅紀が出したっていうクイズの答え。

ニノが「翔ちゃんも解ってるでしょ？」って言ったけど。

解ってる、とは少し違うかもしれない。

見て見ぬ振りをしてる、に近いのかもしれない。

ウンザリなんだ。
色恋沙汰は。

ホントは。
結局。

「翔ちゃん、恋愛すんの面倒なんでしょ？」
「...ま...正直そうだな」

出会い方に拘るのは、それも俺の本音だ。
だけどそれは、単なる言い訳だってのも自分が一番よく解ってる。

明確な答えは解ってるけど見て見ぬ振り、続けてる。

「その原因、クソオンナ、だろ？シリガルオンナ」

ニノが薄い唇を小さく開いて、ボソッと吐き捨てる。

「おい！ニノ！」

自分も前に「最低な女」って言ってた雅紀が、それより汚い言葉に慌ててニノの口を止めようとする。

「何だよ、腫れ物に触るよーなコトでも無いだろ？翔ちゃん、悪くねぇんだし」
「けど...思い出したくない事もあるだろ？今はさ、これからの事考えようよ」
「過去に原因があんのに、そこ無視して進めんのかよ」

首だけを雅紀の方に向けて、ニノは低いトーンで淡々と話す。
言葉の一個一個が、俺に直接言ってる訳じゃないのにサクサクと突き刺さる。

「翔ちゃん、翔ちゃんはつまんなくなんか無い」

ニノが微笑む。
その後ろで、雅紀も笑う。

「そろそろ解放してやんなよ、自分のコト」

解放...。

「翔ちゃんはイイオトコだよ。オトコに言われても嬉しくないと思うけど」
「翔ちゃん！俺、女だったら翔ちゃんと結婚したいって言ってるの本気なんだよ！」
「あー、良いね。オレも翔ちゃんと結婚したいわ」
「駄目だよ！俺が先に言ってたんだから！」
「はぁ？相葉さんと結婚なんかしたら翔ちゃん、カラダ壊すわ！毎晩腰砕けるわ！」
「ニノだってだろ？！毎晩虐められて恥ずかしくて恥ずかしくて翔ちゃん、泣いちゃうよ！」

何言ってんだよ、コイツら...。

「翔ちゃん、オレの方が良いよね？優しいよ、オレ」
「俺でしょ？上手いよ、俺！」

そこそこ本気のテンションでそんな話ができるコイツらをちょっと尊敬する。

「どっちも遠慮しときます」

本当バカだなって思うけど。

コイツらが居たから、俺は五年前のあの日も笑えたし今日だって笑えるんだ。