空想カタルシス【ars S.S】 (ページ34)

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34.メンバー。ページ34

「いつなら翔ちゃん空いてる？」

雅紀はソファにゴロンと転がりながら手帳を開いて合コンの計画をニヤニヤと立てている。

「お前さ、その...A...さん？Aさんの連絡先は知ってんの？」
「トーゼン！じゃなきゃ、合コンの事決められないでしょ？」

いとも簡単に言うけどさ。
女の子の警戒心を掻い潜って連絡先を聞くなんて、俺には超難問なんだけど。
そもそも、久々に会った同級生と合コンの約束なんてできるもんなの？

雅紀の女の子の警戒心を解くテクニックを是非知りたい。

知った所で、俺は雅紀の真似なんてできないけども。

「ねぇねぇ、誰誘う？俺と、翔ちゃんと...後一人くらいかなー」
「俺は良いよ…」
「何言ってんの？この出会いは、俺から翔ちゃんへのプレゼントって言ってるでしょ！」

いらねぇよー...。
そんなプレゼント、マジでいらねぇよ。
変な人形以上にいらねぇよ。

「ニノにしよっか！」
「誰でも良いよ…」
「ニノ誘ってみよ！」

雅紀は相変わらずのパカパカ携帯を出して、どうやらニノに電話をし出した。

俺はテーブルに置いたままにしてたコーラを飲んだ。
...んだけど、温いし、炭酸は抜けてるし、不味い。
雅紀が二杯も飲み干した間に、俺は一口も口にしてなかったから当然か。

「...あっ！もしもしー、ニノ？...え？うっさいなぁ」

きっと電話の向こうではニノが憎まれ口を叩いてるんだろう。
ニノも日曜で休みだったろうに、お気の毒様。

「ねぇ、合コンどう？..ん？俺と同い年。...バーカ！ロリコンかよ、お前！」

何の話してんだよ、ホント。

「翔ちゃん連れてくから！...ハハッ、でしょ？そうそう。じゃ、そーゆー事で。また連絡するわ！」

ケラケラ笑いながら、雅紀は電話を切った。

「ニノも来るって！」
「ふーん…」
「翔ちゃんが行くならってさ」

何で俺が行くなら、なんだよ。

「合コンの翔ちゃんなんて、面白すぎるだろ！見逃せないだろ！って」

あー...ホントもうヤダ。

薄く笑うニノの顔が簡単に想像できた。