空想カタルシス【ars S.S】 (ページ33)

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33.節操。ページ33

俺はこの歳になっても、実は合コンってものに行った事が無かった。

そんな場に出会いを求めに来る女の子に、俺自身が興味無いからだ。

それにやっぱ、自然と出会いたい。
曲がり角でぶつかってレモンが転がる、とかじゃなくてな！

と言うか...恋愛自体に、そこまで積極的になれない。

合コンに行かなかった理由。
結局はそこが一番、大きいんだと思う。

俺みたいなつまんない男、相手の女の子達もハズレだと思うだろ。

「翔ちゃん連れてったら、女の子達喜ぶだろうなー！」
「んな訳無いだろ」
「何で翔ちゃんって、こんなに自分に自信無いのかな」

雅紀は心底不思議そうな顔をする。
そして、右頬を上げて柔らかく笑った。

「こんな綺麗な顔してんのに...」

少し掠れた声で囁いて、雅紀は俺の頬に手を添える。

「...っ？！おっ…おまっ...何っ...！何やっ...！」

俺は雅紀の手を思いっきり払って、ソファから飛び降りた。

そんな俺を見て雅紀は「翔ちゃん！そんな本気にしないでよ！」と、お腹を抱えて爆笑してる。

「まぁね、俺は女だったら翔ちゃんと結婚したいけど」
「...何だよ、お前。怖いよ、何だよ」
「怖がらないでよ」

雅紀は笑いすぎてヒーヒー言ってる。

「俺、女の子大好きだから、いくら翔ちゃんが綺麗でも襲わないって！」
「...何なの、マジで...」
「冗談に決まってるじゃん、真面目だなぁ翔ちゃん」

お前、節操無いから本当に男もいけるのかと思うだろうが。

「まぁ、あれだよ。顔だけじゃなくてね」

雅紀がソファに深く腰掛けて腕組みをした。
俺は、その場に座って腕組みをする。

「翔ちゃんは、人としてもちゃんと自信持って良い男だよ？」
「褒めてもなーんも出てこないよ」
「俺、翔ちゃんに生まれ変われたら、女の子とちょー遊ぶよ！人生薔薇色だよ！」

お前は今でも女の子と遊んでるだろ。
薔薇色だろ。

いや、桃色だろ。