空想カタルシス【ars S.S】 (ページ24)

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24.謝罪。ページ24

暑いなぁ…。

こめかみにも、ツーッと汗が流れた。

その汗を手のひらでグイッと拭いて、俺は携帯を耳に当てた。

「あっ！翔ちゃん！どこにいる？大丈夫？」

数回のコールの後、聞こえるのは雅紀の柔らかい声。

「ごめんな、雅紀。俺、今日はこのまま帰るわ」
「翔ちゃん...」
「せっかくみんな、集まってくれたのに。ホントごめん」
「ううん、そんな...気を付けて帰ってね」

ありがと、と俺は電話を切った。

雅紀の声、ちょっと震えてたな。

俺は帰る途中で缶ビールを何本か買った。
いつもより、ちょっと高めのビール。

部屋に帰り、そのビールを開けた時、家のチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だ？と思いながら覗き穴を覗くと、アイツらが。
アイツらが四人で並んでた。

「ちょっと...どしたの」

ドアを開けて俺が言うと、四人揃って頭を下げる。

「えっ？！ちょっと何？」
「ごめんなさい、翔ちゃん」

ニノが頭を下げたまま謝る。

「何かよく分かんないから、とりあえず入って」

マンションの廊下で、こんな夜中に近所迷惑にも程がある。
俺は慌てて四人を部屋に入れた。

「あの...何？どうした？」

正座する四人につられて、俺も四人の正面に正座する。

「翔ちゃん...オレ、とんでもないコトしちゃって...マジでごめん」

土下座しながら謝るニノのつむじを眺めてたら智くんが「ニノは、おれらが叱っといたから」と申し訳なさそうに言った。

「あれはニノも悪い。ニノが騒ぎ立てなければ、あんな修羅場にはならなかったんだよ？」

潤がニノを見ながら溜め息を吐いた。

「意外とね、熱いからね、ニノ」

雅紀がクスッと笑う。

「オレ、酔ってて...あ、もちろん酔ってたからって言えば何でも許されるなんて思ってないんだけど...」

珍しく、ニノがしどろもどろになって。
恐る恐る、と言った雰囲気で俺の目を見た。

「腹が立ったんだ。翔ちゃんがあんなオンナと...」
「おい、ニノ」
「あ...いや、ごめん...」

潤にたしなめられてニノは一瞬黙った。

でもすぐに、「けどやっぱ」と顔を上げる。

「あんなクソオンナに、翔ちゃんはもったいねぇだろ」

隣に座ってる潤に、ニノは思いっきり頭をはたかれたけど。

けど、俺はちょっと、スッキリした気がした。