楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ48)

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48.ここが楽園。ページ48

触れた事も無い君に

心を持ってかれたのは、いつなんだろう。

何も言わずに煙草を出してくれた時？

「唇にラメ付いてる」って笑われた時？

それとも首のキスマークを見られた時にはもう？

知らない内に、魔法に掛かってた。

でもこの魔法は、朝になっても解ける事は無いんだ。

神様、ありがと。

こんな素敵な誕生日をくれるなんて、俺の経験人数には目を瞑ってくれたのかな。

「あ、Aちゃん、もう仕事戻るよね！」
「うん、そうだね」
「じゃ俺、帰るね！バイバイ！」
「うん！ありがとー、気を付けてね！」

手を振りたかったけど、片手はハンドルで片手にはケーキで両手が塞がってる。

仕方無いから、もう一回「バイバイ」って言って軽く会釈した。

「バイバイ！お疲れ様、雅紀くん！」

ドックン、心臓が口から飛び出そうってこうゆー事なんだって思ってしまう位。

俺、顔真っ赤になってないかな。

「良い名前だよねぇ、雅紀って」なんて照れ隠しなのかブツブツと呟くAちゃんが、可愛くって。

俺の傍に繋ぎ止めておきたくって。

誰か他の男に奪われちゃったら、嫌だなんて思っちゃって。

ねぇ、神様。

今日は聖なる夜だからさ

もう一つだけ、俺に魔法をかけてくれる？

もう少しだけ、俺の背中押してくれる？

「Aちゃん、今度休みが合う日があったらさ......」

――――――――――Still Continue... 【楽園クラッシャー】