楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ43)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:872,301 hit

43.贈り物。ページ43

クリスマスだから、「気分ね！」ってチキンのハンバーガーのセットとフライドチキンもオマケに付けた。

明るい店内で向かい合ってハンバーガー囓りながら「女の子はもっと照明が落としてあるフレンチレストランなんかでクリスマス過ごしたいだろうなぁ...」って

そう思いながらAちゃんを見たら「美味しいー！」ってフライドチキンにかぶりついててさ。

「ごめんね、クリスマスにファーストフードってムード無いよねぇ」
「相葉くんが誘ってくれなかったら、ファーストフードどころかコンビニのおにぎり食べてたんだよ？」

なんて、笑ってくれてさ。

俺から警戒心、解いてくれたのかなぁ...って

ちょっとだけ、そんな風に期待しちゃっても...良いのかな...なんて、思ったり。

「あのさ、Aちゃん」
「ん？」
「これ、良かったら...」

俺は自分でラッピングした小さな袋をテーブルに乗せて、Aちゃんの前までツーッと滑らせた。

「えっ？何？」
「あの...クリスマスだから、さ！」
「そんな、お手伝いまでして貰ったのに悪いよ！」
「良いの良いの！そんな気を使わせる程のモンでも無いから！」

クリスマスに、好きな女の子に会うのに手ブラってのもって思ったんだ。

だけど彼氏でも無くて、ましてや遊び人だと思われてる俺が気張ったプレゼントしても引かれると思った。

「開けても、良い？」
「うん！」

俺が結んだリボンを、Aちゃんの細い指がスルンッとほどく。

「あっ！可愛いー！」

濃淡明暗色々な緑色の太い毛糸を集めて作った、ヘアゴム。
髪に結ぶと、結び目にふんわりボリューム出て可愛いんだ。

店に入荷された時、「Aちゃんに似合いそう！」って思って店長の権限使って店に出す事もせずにすぐ取り置きした。

「相葉くんのお店の？」
「うん、そう。Aちゃん、仕事ん時いっつも髪纏めてるからさ」
「ありがとー、嬉しい！オシャレー」

掌にゴムを乗せて、フフッて笑う。

綺麗な黒髪に、きっと似合うよ。

「着けてみよーっと」

そう言って、後ろで束ねてる髪にクルクルとゴムを巻きつけて俺に見せる。

「どう？」
「可愛いよ！」
「ゴムが、でしょ？」

クスクス笑いながら、またハンバーガーを囓る君。

もう俺、その笑顔見れただけで幸せ。

その笑顔が、俺への誕生日プレゼントだよ。