楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ4)

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4.コンビニエンス。ページ4

残念ながら駅前のコンビニには、胃のムカムカを抑えてくれる健康的なドリンクと空腹を満たしてくれる軽食位しか売ってなかった。

「ウコン、ウコン...ウコンのちからー」

俺は、1日に活力をくれるドリンクが並ぶ棚から、二日酔いに効く物を選ぶ。

それとカツサンドを手にしたけど「二日酔いにはキツイか...」と、野菜サンドに変えて、レジに持って行く。

「いらっしゃいませ」
「あ...それと、KOOLのブーストも下さい」

今朝吸おうと思ったら煙草が切れてたのを思い出して、それも頼んだ。

「５ミリと８ミリ、どちらでしょうか？」
「あ、そっか...８ミリで」
「はい、かしこまりました」

眠たいなー...

平日のこんな時間に朝帰りしてると、何かすっごい悪い事してる気分になる。

でも、俺、土日働いてるもん！...なんて、他人は知ったこっちゃ無いもんな。

あー...早く帰って寝たい。

「あの...」
「ん...？」
「あの...お会計...」
「あっ！すいません！えっと...いくらですか？」

ボーッとしてお金を払い忘れてた俺に、店員さんが小さく笑った。

「840円です」
「はい、はっぴゃく...よんじゅ...あ、丁度あります」

財布の中にピッタリあった小銭を出して、チラッと店員さんを見たんだけど目が合わない。

店員さんの視線は、どうやら俺の首。

思わず自分の首を撫でると、店員さんはハッとしたように視線を俺の目に移した。

「あ...ありがとうございました。またご来店くださいませ」
「...ありがとーございまーす...」

ドリンク剤とサンドイッチと煙草の入ったビニール袋を受け取って、俺はコンビニを出る。

「さむっ！」

そろそろマフラー必要だな。

うちに帰って、コンビニ袋をポイっとソファに投げて洗面所に行く。

鏡に映る自分を見て、思わず口が開いた。

「うっわー...」

首筋に、今まで何してたかバレバレの赤い痕が「２...３...フッ、５個って。ヒトミちゃんやってくれたなぁ」

あの店員さんが見てたのは、これか。

グイっと首筋を一撫ですると、手の冷たさが熱い首に気持ち良かった。

「隠さなきゃなぁ...ハズカシ...」

やっぱマフラー、必要だな。