楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ25)

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25.特上。ページ25

目が覚めた時、ラグに寝転んでたはずのニノはそこに居なかった。

「あれ...？」

身体を起こすと、朝よりは軽く感じるけど熱はまだ下がってないっぽい。

「あ、起きたー？」
「...ん？」
「お粥、作ったけど」
「ありがと...食べる」

ソファの前のローテーブルにお粥が入ったお茶碗を持って来てニノは「さぁ、お食べなさい」って偉そうに言う。

「いただきます...」

アツアツのお粥は、やっぱ味分かんないけど...

「おいし...」
「そら良かった」
「ニノは何も食べないの？」
「オレ？オレはデリバリー頼んだ」

そう言って、天丼の宅配のチラシを俺に見せる。

「特上天丼！もちろん、相葉さんの奢りな？」
「まぁ...良いよ」

せっかくの休みに看病してくれたのは、やっぱりありがたいからね。

「ニノ、持つべきものは友達だね」
「...ってかさぁ、お前。看病してくれるオンナノコいねぇのかよ」
「え...？女の子...」
「呼び出したら来てくれるオンナノコ位、腐るほどいるんじゃねぇの？」

呼び出したら来てくれる子は...うん、何人かは居ると思う。

でも、その女の子の中の誰かを呼ぼうとは今の今まで全く思い付かなかった。

「...好きでも無いさぁ...それこそトクベツでも無い男の看病なんてさせるの...可哀想でしょ？」
「オレは良いのかよ」
「ニノは俺の事好きだから良いの」
「フハッ！勝手な見解だわー、迷惑だわー」

ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴る。

「特上てんどーん！来たー！」

ニノが嬉しそうに叫んで、俺に手を出す。

「なに？」
「お・か・ね！」
「あ...そっか...そこの俺のリュックに財布入ってるから、そん中から払って」

リビングの端に置きっぱなしにしてたリュックから財布を抜き出して、ニノは玄関に走って行った。

看病してくれる女の子...

アソべる女の子ならいっぱい居るのに、こんな時に連絡したくなる女の子は...居ない。

でも...会いたいって思った子なら...

「うっまそー。ん？どしたの、相葉さん」
「え？」
「神妙な顔しちゃって。ガラじゃないよ？」
「...うっさいなぁ、ばぁか」
「バカって言う方がバカなんですぅ、って言うか相葉さんがオバカなんですぅ」

ニノは俺の隣に座って、それはそれは美味しそうな天丼を食べ始めた。