楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ3)

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3.魔法の無いお城。ページ3

仲睦まじいカップル

訳ありっぽいカップル

お金絡んでそうなカップル

オトナのお城から出てくる、色んなカップル。

俺とヒトミちゃんはどんなカップルに見えてんだろ。

「じゃあね、雅紀くん！」
「うん、気を付けて帰りなよ？」
「ねぇ、またアソんでくれる？」
「もちろん、アソボ」

人目から隠れるようにある小さなエントランスを出たとこで軽く手を振って別れる。

後ろ姿を見送ってると、ヒトミちゃんは振り向く事も無くすぐに鞄からスマホを出して誰かと電話をし始めた。

『今度はいつ会えるの？』
『責任は取ってくれるんだよね？』
『私の事、好きなんでしょ？』
『どうゆーつもりで抱いたの？』

なんて、面倒なコト言ってこない。

俺も言わない。

後腐れの無い女の子は、好き。

しかも、可愛いんだからヒトミちゃんは大好きだ。

でも、それって恋じゃない。

全然、恋なんかじゃない。

じゃあこれって...

「一体、何なんだろねぇ...」

ふと、さっきまでやらしいコトしてたオトナのお城を見上げる。

外国のお菓子みたいなどぎついピンク色の壁。

安っぽい水色の窓枠。

こんなお城では魔法にかかれるはずが無いな。

俺は、ヒトミちゃんが歩いてったのとは逆方面に向かって歩き出す。

『そろそろ真面目に恋愛すれば？』

アイツが俺に言った言葉が、ストンと胸に落ちて来た。

俺を見るアイツの目は、壊れ物を見てるようで。

俺、一応真面目だよ？

『お前の恋愛の仕方が真面目だったら、世界が狂うわ』

フハハッ！と笑ったアイツが、本当は何が言いたいのか位さ

もう何年も一緒に居るから、俺には分かんの。

世の中は愛に溢れてるんだよ。

俺、本気でそう思ってるけどさ。

じゃあ、俺の愛はどこにあんのかな？

楽しい。

可愛い。

大好き。

キモチイ。

それだけで良いって思ってたけど。

最近、ちょっとずつ、心が欠けてく気がするんだ。

女の子抱いてる時には満たされて

手から離すと、ポロリと欠ける。

ねえ、愛ってどこにあんの？

コンビニで売ってたり、しない？