楽園クラッシャー【ars M.A】 (ページ18)

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18.にの・あい。ページ18

週末なのはニノだけで、俺は明日も仕事で。

何だったら週で一番忙しい土曜だから、早めに居酒屋を出た。

「俺んち泊まってけば良いのに。相葉さんの店も近いし」
「珍し、ニノがそんな事言うなんて」
「だってオレ明日休みだもん！」
「...何かこーゆー時のニノって寝かせてくんないから帰る」

ニノは「相葉さん、いっつもオレを寝かさないからやり返してやろうと思ったのに！」って笑う。

俺らの横をOLさん二人組が俺とニノのやり取りを聞いて、ギョっとした顔をしてヒソヒソ話しながら通り過ぎた。

「...ん？今、変な顔で見られたよ？」
「ンフフ、オレと相葉さんがそーゆー関係だと思ったんだろうね」
「えー...翔ちゃんとなら良いけど、ニノとはやだ」
「何だよ、それ。何で翔ちゃんなら良いのよ」

だって翔ちゃんはイイオトコだもん。
面白いし。...からかい甲斐があって。

ニノは俺がしてやられるから悔しいしー。

「やっぱ翔ちゃんが良いなぁ...」
「しみじみ言うなや。そんなにオレが嫌か！」
「だって意地悪だもん、ニノ」
「そんなん言われたら、オレだって翔ちゃんが良いわ。相葉さんみたいなおバカさんは嫌だ」

とか言いながら、自分ちとは逆方向なのにちゃんと駅まで俺を見送ってくれるんだよ。

ニノってば。
素直じゃないなぁ。

「ニノ、俺の事好きでしょ？」
「はぁ？好きじゃねぇよ」
「俺は好きだよ？」
「バッカじゃねぇの？」

フハハ！って、高い声で笑って俺の肩をグーパンチして来た。

駅の改札の前でニノの顔を見て手を振る。

「じゃあ俺、帰るね。ありがと、送ってくれて」
「何だそれ、女子か」

ニノは眉間に皺を寄せて、両手をポケットに突っ込んだまま手を振りもせずにフッて笑った。

ICカードを改札にピっと当てる。

クルっと振り返ると、ニノはまだそこに居たからニっと笑ってもう一回手を振る。

「ニーノ！愛してるよ！」
「...はっ！？おまっ...バカじゃねぇのっ！？」

ほらほら、周りに居る人達に凄い目で見られちゃってるよ、ニノ。

ざまーみろ！
いっつも俺を虐めるからだよ？

たまには俺がやり返してやる。

周りの好奇の目に珍しく狼狽えてるニノを放置して、俺はホームに向かった。