PRESTO！【ars M.A】 (ページ25)

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25.楽園の崩壊。ページ25

「そうなんだぁ！やっぱりね！」
「...えっ？」

目の前のヒトミちゃんは両手で頬杖をついて、ニコニコしてる。

「私、前に言ったでしょ？雅紀くん、好きな子いるんじゃない？って」
「あ、うん。言ってた」
「抱き方が変わったって言ったでしょ？」
「...言ってた...ねー...」

ヒトミちゃんがちょっと俺の方に身を乗り出して、胸元が大きく開いた服から柔らかそうな谷間が丸見え。

釘付けになっちゃいそうな自分の視線を無理やり谷間から引き剥がして、ヒトミちゃんの顔を見る。

「なになに？私に恋愛相談？何でも聞くよ！」
「いや、そーじゃなくってね...」
「うん？違うの？」
「あの...だから...俺ね？もう、さ...」

もうヒトミちゃんとはえっちシないし...ってゆーか、会わないし会えないし、連絡先も消すつもりで...

「私との関係を切りたいんだね？」
「...えっ...」
「真面目に恋してるんだねぇ」
「ヒトミちゃん...」

大きな目を細めて、ヒトミちゃんは微笑んだ。

「良いよ！」
「良いの...？」
「そりゃあ、雅紀くんカッコイイし、えっち上手いし...」
「...ゲホッ！！」

思っ切りコーラ吸い込んじゃったよ...

喉いってー...

「雅紀くんの事は大好きだけど、かるーい雅紀くんだから好きだったんだもん。私はね」

彼氏にするなら絶対に真面目な人が良いから雅紀くんは違うって思ってたし！って、カラッと言う。

「真面目に恋をするって決めた雅紀くんは...んー...正直、正直ね！本当にすっごく魅力的だけど」

コーラのカップを包んでる俺の手にそっと、ヒトミちゃんが触れた。

「恋するってそう思えたのは、その好きな子が出来たからなんでしょ？」
「...うん...」
「だったら悔しいけど私に勝ち目は無いし！応援する、雅紀くんの事」

俺の手をポンポンッて軽く叩いて「はい、携帯開いて！」ってテーブルの端に置いてる俺の携帯に目をやる。

素直に携帯を開くと「私の連絡先出して」って言われて、それにも素直に従う。

「じゃあ、それ貸して！」
「えっ？」

俺の手から携帯を取り上げたヒトミちゃんが

「消去ーっ！」

明るく笑った。

返してくれた携帯に、もうヒトミちゃんの連絡先は無くて

自分のスマホを操作してまた「消去！」って言ったヒトミちゃんは、少しだけ唇を噛んで

「ちょっと寂しいね」

...って、眉毛を下げて微笑みながら呟いた。