PRESTO！【ars M.A】 (ページ23)

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23.第一歩。ページ23

仕事が休みの昼下がり、ベッドの上に寝転んで携帯の電話帳を開いて眺める。

その中に『遊べる女の子』なんてふざけたグループがあって、自分で引く。

「んー...どうしたもんか...」

こんなにたくさんの女の子の連絡先が入ってるのに、一番欲しい連絡先が入ってない携帯。

画面をスクロールしながら「カナちゃん...？ミキちゃん...え？どんな子だっけ...」なんて思ってしまう俺って、ホントどーしよーも無いな...。

「あ...そうだ...」

そう言えば俺、ヒトミちゃんからの電話を無視したよなぁ...。
その電話の折り返し...ってのを理由にすれば不自然じゃないかも。

「...ってか、折り返しって何週間前の電話だよもう......あー...えいっ！」

目を閉じたからってどうにもなんないのに、思わず目をキツく瞑ってヒトミちゃんに発信した。

「はい？もしもし？」
「あっ！？あっ...ヒトミちゃん...？」

思った以上にすぐに返って来た耳元に響く、甘い声。

「雅紀くん！どうしたの？久し振りだね」
「あー...うん、前にさ、電話貰ってたから...何だったのかなー？って思って」
「フフッ、それいつの話？暇だったから電話しただけだったし、気にしなくって良いのに」

電話の向こうでヒトミちゃんが柔らかく笑う。

「ヒトミちゃん...今大丈夫？」
「うん、今ちょうど仕事の休憩中だったの。なぁに？えっちシたいの？」
「えっ！？」

いやいやいや...ちょっと前までの俺なら「ヒトミちゃんがそろそろシたい頃なんじゃないかなー？と思って」なんて言ってたんだけどさ。

「仕事、七時には終わるから雅紀くんち行くよ？」
「あ、いや、違うんだよね」
「え？違う？」
「うん...ちょっと話したいコト、あってさ...」

話したいコト？ってヒトミちゃんがオウム返しする。

「だから、俺がそっちに行くよ。ヒトミちゃんちの最寄駅教えて？」
「うん、分かった」

俺はヒトミちゃんが使ってる駅を教えて貰って、七時過ぎに待ってるって約束して電話を切って。

大きく溜息を吐き出した。

あ...ちょっと待って

話って...俺、何話すの...

自分で『話がある』なんて言ったけど、何の話すんの？俺。

諸事情により、君とはもうえっちシません。...って？

何それ。

何それ！

「...あー！もうっ！」

分かんないよー...

何で今までアソんでたんだよ！俺のバカッ！